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第11話 「うつほ」について。

 「うつほ」に関してはほぼ原作通りです。


 最初の「青春ものがたり」は、元々の「うつほ」が構成が面倒なものになっているので、途中からにして、その前の話は「設定」ということにして、河野多麻せんせいの注釈(岩波の本を使ってるので)で訳してます。

 というか河野多麻せんせい、もの凄くうつほ萌えの方だったらしく、注釈だけで相当通じるんですよね……


 そしてともかく男子ばかりで、女子の存在感が少ないものですからそこは補完してます。少年マンガが基本男子ばかりで動くというのと似てる感じが。

 だからこそ清少納言達、定子さまのサロンで「仲忠と涼はどっちがいい?」というエピがあったりするのですがな!

 んで、補完した今宮と女一宮はその意味では狂言回しとして使ってます。実際の話の方では滅多に動いてません。そもそも姫レベル女子の描写がまあ少ない!

 女房達の行動の方が楽しいです。

 その辺り、女房達に接することができる男性が書いたんじゃないか、と思われるふしですな。

 個人的にはやっぱり孫王の君が好きです。とはいえ、彼女の過去エピは補完です。仲忠くんの貧しい時の生活はさすがに現実的なものとして描きたかったので、彼女とその父親の位置をちょいと使わせていただき。


 ところで「うつほ」は古文としては平易な文章が多いのがありがたい。過剰な修飾が少ないので割りと慣れるとそのまま読めるんですよ。

 そんで物尽くし的なとこが面白いので、そのままずらずらとあげてあります。

 かつて訳本として出されてるのには、講談社学術文庫だったり単行本だったりする浦城二郎氏のがあるんですが、物尽くしなとこはカットしてあったり、露骨な言葉とか避けてあるのが勿体無くて!

 この話は何というか、この露骨さが面白いのですよ。何をどれだけやった、とかが本当にずらずら並べられるところがこの作者の価値観をも表してる感じもしますし。

 だってそういう描写こそが、当時の細かい文化を考える時にも面白いではないですか!

 「源氏」以前の話で、仲忠くんと女一宮のいちゃこらとか、そのまんまですから! 苦学生藤英のエピなんぞ、それ作者、お前だろ! って感じですし。ストーカー実忠がこれだけ親の愛情をそれでも受けてるあたり、何かそれ…… とか。

 皆が皆あれこれ思い悩んでた訳じゃねーぜ、という感じで楽しいのですよ。


 で、あて宮争奪戦(東宮の一人勝ちだったけど)までが最初で、間奏曲として仲忠くんの母君のはなしがあって、そのあと今やってる結婚・新婚ばなしなのですよ。

 ここから女一宮が本当にどーんと出てくるんですね。あと仁寿殿女御とか。


 ただ!

 この辺りの古典にはありがちなんですが、系図作ると死にます(笑)。

 何なんだこの関係は、という感じで入り組んでますから!

 年齢って一体何なんだ! と言いたくなりますから!


 ともかくワタシに古典の楽しさを教えてくれた作品なんでもっと広がれー、と思っております。

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