惑星アルカディア。
理想郷——と名付けられたこの星は、かつて創造の女神様がお創りになったと言われています。
女神様は星の原型となる球体を生み出し、世界の中心に世界樹〝セフィロト〟と呼ばれる大木を植えました。世界を神秘的力の
世界樹は瞬く間に根を張り巡らせ、生い茂る葉より生まれたマナが大木の根を伝って世界を循環、大気はマナで満たされていきます。
そうして、女神様は世界に満ちたマナから人、動物、虫、
中でも〝人〟は女神様の姿形に似せて創造された特別な存在です。
初めに生まれた人間は、女神様と同じ色——マナの光を溶かし込んだ銀色の髪、澄んだ青空のような
人は他の動植物とは違って高い知能を有しており、知恵を振り絞り、時に協力して文明社会を築きあげていきます。
また、マナを利用して魔術という奇跡を具象化する技術を編み出したことで、女神様の御業にも似た力の一端を手に入れました。
ですが、それは良い事ばかりではありませんでした。
いつの頃からか、人は手に入れた力を使って互いに争い、分裂。
自分こそがこの星の支配者である、と不遜にも振る舞い始めたのです。
世界樹を独占しようと企む輩もいました。
戦いは戦いを呼び、木々は焼かれ、流れた血で大地は穢れ、沢山の生命が戦火に飲まれてゆき——世界は暗雲に包まれました。
彼らが争う姿を見た女神様は、大層お嘆きになりました。このままでは、世界は闇に飲まれてしまう、と。
人を、この星に生まれた生命を愛していた慈悲深き女神様は、争いを止めるためにご自分の持つ特別な力を、選び抜いた愛し子へ授ける事を決意なさいます。
女神様の忠実なる
彼らは女神様と共に闇を
そうして、彼らの活躍により世界に再び平和が訪れたのです。
この戦いの中で女神様は数多の奇跡を為しました。そのせいでしょう。戦いが終わった時、力の殆どを使い果たした状態にありました。
女神様は使徒らに告げます。
『私はしばし、眠りにつきます。けれど、夢の中から見守っています。私の愛し子たち、どうかアルカディアを頼みましたよ。憎しみではなく、愛を持って救い、導いてゆくのです』
と、願いを託して眠りにつきました。
世界各地に遺された、女神様を
女神様が何故、この星を創り、自分に似せた存在を生み出したのかはわかりません。ですが、女神様は私達を愛し、見守ってくれています。
今も、昔も。
≪アルカディア創世神話 第一章より抜粋≫