おまけです。
ルーカスが立ち去った後の二人の様子+ディーンの心境。
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部屋に残されたゼノンとディーンは、矢継ぎ早に告げ、立ち去ったルーカスの出て行った扉を、
「『ネタ』ねぇ。あれはどう見てもベタ
「また君はそういう事を言う。ルーカスが聞いたら怒るだろうね」
けれど
(冷静沈着でストイックなルーカスが、仕事を放り出してまで気に掛ける相手、ねぇ)
彼女の正体が何であれ、普段のルーカスからは想像もつかない行動で、興味が
ゼノンもそれは同じだったのだろう。
思いがけず面白いネタを掴んだと言わんばかりに、ほくそ笑んでいる様がみえた。
そんなゼノンの表情に、ディーンはケーキスタンドに並んだスイーツを頬張りながら思った。
(腹黒王子のお出ましだ)
——と。今後このネタをダシにどんな
ルーカスが良い様に転がされる姿を想像して、哀れになった。ほんの少しだけ。
(ま、面白いからいっか)
ディーンはルーカスの健闘を祈りつつ、また一つ、スイーツを口へ運んだ。
(それに、恋も遊びも、楽しまなきゃ損だからな)
ルーカスが心に傷を抱えているのは知っているが、いつまでも過去に囚われず、もっと人生を
(カレンもゼノンも、それを望んでるだろうよ)
過ぎ去った時は戻らない。無常に過ぎ去り、未来は続いて行くのだ。
だからこそ思う。
真面目で不器用な幼馴染が、己の気持ちに正直に、これからの日々をもっと楽しく過ごして欲しい、と。
——自分のように。
(……お前もそう思うだろ? セイラン)
今は亡き大切な人に想いを馳せて、ディーンは静かに瞼を伏せた。