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デンジャラス 28

 電話口で隼政は名前を呼び続けていたが、いくら呼びかけても何の反応も返ってこない。こんな事は初めてだった。それがより一層切迫感を感じさせ、苛々を隠せないでいた。


 こんな時こそ冷静に物事を見極めなければならないが、今の隼政は焦りでそれどころではない。慌てて隼政が家を飛び出そうとした時だった、呼び止められたのは。




「なんだよ! こっちは急いでるってのにっ」


「――隼。僕も同行していいかい」


「真冬……」




 いつ仕事先から帰ったのか。まったく気づかなかったが、スーツ姿の水露の彼氏が立っていた。

 深緑の眼鏡をかけた細身の青年は、今流行りの草食系男子にしか見えない。今風の若者の身なりだが、落ち着いた雰囲気の好青年っていう印象だ。



「仕事早めに切り上げてきたんだ」


「いいのかよそれ。用事があるわけじゃないんだろ?」


「僕の勘が告げててね。――今宵、何かが起こると。仕事は大丈夫だよ、僕の優秀な後輩がいるからね」


「何かってなんだよ」


「僕にもそれはわからない。それより、急がないとだろう」


「おい真冬! お前行き先わかってんのか!?」



 自分より先に家を出ていった真冬を慌てて追いかける。隼政からしたら意外だった。まさか真冬まで一緒だとは夢にも思わないだろう。しかも不穏な発言まで飛び出して、正直もう何がどうなってるのか理解不能である。



 ――早く。一刻でも早くいかないと……!



 隼政の額に汗が滲む。外気の冷たさが肌に刺さる。でも足を止めるわけにはいかない――隣で走る真冬は涼しい顔で走っている。先程まで仕事をして、帰ってきた人間とは思えない。



 ――意味わかんねぇ!!







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