「神隠し伝承記? 何が書かれてあるんだ?」
「さあ」
「さあって、なんだよ」
「パスがかかってる。何を試しても開かないから、お手上げ。問い合わせも受け付けてないし」
雪芭はため息をつく。何度もチャレンジを繰り返したが、すべて徒労に終わった。
「サイトとして成り立つのかよ、それ」
理解できないといった口調で隼政が言った。雪芭もそれには同意で、一般論で考えたら理解し難い。問い合わせも受け付けてないとは、そのまさかだ。
「オレたちの疑問はもっともだが、成立してる。少なくとも熱狂的なファンには支持されてるね」
隼政は、部屋の中を歩き回りながら喋っている。不安がそうさせるのだから仕方ない。あとはタイトルは忘れたが、考え事をする時は歩くといいと本にあったからであるが。
本に影響されやすいタイプで、良くも悪くもそれを実行してしまう。