「「神隠し」」
同時に神隠しと言い、しばらく二人の間を沈黙が支配する。今まで読んできたものから得た知識と直感が、そう告げている。笑い飛ばしてしまいたい気持ちは、始まりから存在しない。
解決法など当然ないに等しく、隼政も雪芭も考えあぐねていた。
話を切り出したのは雪芭だった。
「菜々子さん、今日、帰らなかったら警察に捜索願い出すっていってた。…………どうする、隼政」
「俺たちで調べるに決まってんだろ。普通に考えたら事件だけど……絶対、違う」
「だな。それに気になる事がある」
雪芭は手元にある携帯を手早く検索し、とあるサイトにアクセスする。
携帯の画面に映し出されたサイトは――深い夜の闇。真っ暗な背景には血の赤、彼岸花の赤を、連想させる色でタイトルが綴ってあった。
神隠し伝承記――――