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緋葉と夕羅

 全身が異様にだるい。


 自分の意思で思うように、体が動かせない。慣れない事をして、全身が筋肉痛になったような感じだ。



 まだ頭がぼーっとしていて、うまく働かない。



 その時――話し声が聞こえた。



 あの少女と、少年の。



「ねぇ緋葉――ヒトなんて、殺してしまいましょう?生かしておく価値なんてこれっぽっちもないわ」


「……」


「緋葉は悪くないもの。悪いのは、ぜーんぶ緋葉を犠牲にしようとしたヒト。咎めるものはぜーんぶ壊しましょう」


「……それはオレが決める事だ。気に入らないのなら――夕羅が、オレを壊せばいいだろう」


「だーめ。緋葉はわたしのものだから。壊すなら、ヒト」



 緋葉あかは夕羅ゆら



 どうやらそれが名前らしい。




 歩が目覚めた事に気づいたらしく、また何やら少年は唱える。



「シクカミカ、シクカミカ――巡り巡りて元に還せ」




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