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神隠しの杜
椿灯夏
ホラー都市伝説
2024年10月30日
公開日
6,355文字
連載中
あかあかと咲き連なる彼岸花。



夕闇を背にお社の屋根に座る少年と少女。



「はやく帰れ。じゃないと、ここから……帰れなくなる」

緋葉――アカハ――



「隠せばいいわ。緋葉をこんなのにした、ヒトだもの。

だって、ここは――緋葉の領域なんだから」



夕羅――ユラ――



「……とんでもない場所に迷い込んだ」



木暮歩――コグレアユム――




えんえんと、同じ景色を歩いてる事に気がついた時。





もう、遅い。



迷い子

 【神隠し】




 子供、娘などが、突然行方不明になる事。山の神や天狗などの仕業とされた。




 服喪中神棚を白紙で隠す事。







 あかあかと見事に咲いた彼岸花がえんえんと道の両端に連なっていて、儚く綺麗で、それが同時に禍々しくも感じられる。




 途切れる事なくずっと先まで続く彼岸花の道。




 ひたすら歩いているのに、どこまで行っても同じ景色が続くだけ。




 こうも変化がないと嫌な予感しかしない。




「同じ場所をぐるぐる回ってるだけ、だよな……」




 足が疲れても足を止められず、歩き続ける。




 今の現状を認めたくない気持ちと、足を止めたら最後――もう、歩きだせない気がした。





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