【立華家キッチン】
「ご馳走様でした。佐藤さん、今日の晩御飯も美味しかったわ、ありがとう……梨香、後で話があるから部屋に来てもらえる?」
「う、うん…分かったわ…」
亜沙美と【椿大社】デートを楽しんだロミータは、出掛ける前に約束した通り翌日になる今日の晩御飯までには立華家に帰ってきて、家政婦の佐藤が作ってくれた晩御飯を残さず食べて自分の部屋に戻って行く
「どうしたんだ梨香。ロミータちゃんと喧嘩でもしたのか?」
しかし、昨日の朝「4人でスポーツジムに行ってきます!」と仲良く2人で家を出た梨香とロミータが、帰ってきたら言葉も少なく険悪なムードだったので、娘(りか)を心配した梨香パパは思わず娘(りか)に尋ねていた
「う、うん…昨日ね…気が焦ってたと思うんだけど…私が無神経なことをしちゃって、それで亜沙美ちゃんを悲しませちゃって…それを見てたロミーが怒っているのだと思うの…」
ロミータが6歳になる時、彼女の父親の日本本社の業務が忙しくなったので日本に招集された。その時ロミータもやって来て、小学校を卒業するまではこの家にホームステイしていた
父親の会社が軌道に乗ったので、中学の3年間は故郷のイングランドに帰っていたロミータの家族
高校生にあがる時、「娘を日本で働かせたい」と考えた彼女(ロミータ)の両親の意を汲んで、再びホームステイとして迎えていたのだが…仲の良かった2人が初めて険悪になっている様子に、耐え兼ねた梨香パパ
「お前たちはまだ若い。お互いの主張がぶつかり合う時もあるだろうさ。それは気にする事はないと思うぞ…ただ、意見の言い合いをせずに放置するのは良くない。素直に話しなさい。ロミータちゃんは物分りの良い子だ。キット分かってくれるだろう」
「そう…ですわね。ありがとうパパ♪」
父親に勇気付けられた梨香は食事を終えると、約束通りロミータの部屋と向かった
【ロミータの部屋】
「コンコン!……梨香よ、入っても良い?」
「どうぞ…」
ロミータの部屋は元々倉庫替わりに使っていたのを貸し与えられ、整理整頓と掃除が得意な彼女(ロミータ)が1人で片付けて、配信が出来るまでに改良and改善をした部屋だ
「ソコに座ってよ」
「うん…」
配信用の机に座っているロミータは、梨香をベッドに腰掛けるように促(うなが)した。入って来た時から申し訳なさそうな顔をしている梨香
「梨香。ロミーが何を言おうとしているか、分かってるわよね?」
「う、うん…昨日は亜沙美ちゃんとロミーが撮影していた隣りの部屋で…その、太一君とKissしてちゃって…ごめんなさい」
「そうね…でもね梨香。ロミーは梨香が誰と付き合おうが、誰を好きになろうが、そんなとこにまで口出しする気は無いわ。けど…どうしてソレをワザワザあんな場所でしたのよ?」
かなり自由奔放でやりたくなった事は、やりたい時にやる!それがロミータの主義なのだが…それでも人を傷付けない程度には気を配っていた
その考えを大切にしているロミータからすればあんな場所で敢えてKissをするなんて、亜沙美に対して宣戦布告をしている様にしか見えなかったのだ
「私(わたくし)が小学4年生から中学の2年生を終えるまでの5年間、入退院を繰り返していたのは知ってますわよね?」
「そりゃもちろん知ってるわよ。それがあのKissとどう関係しているのよ?」
「あの5年間で私(わたくし)は、同年代のみんなから置いてけぼりをされた様な気持ちでしたの。中学3年生の1年間は、みんなに必死に追いつこうと努力ばかりの1年間でしたわ…」
小学4年生の時に難病を患(わずら)った梨香が、どれだけつらく悲しい日々を送っていたのかを、ホームステイしていたロミータはよく知っている
「知ってるわ。梨香はほとんど遊びもせずに、リハビリと勉強ばかりの日々を送っていると、梨香のお父さんから聞いたことあるわ」
「1年間頑張った甲斐あって、何とかみんなに追いつけたと思いましたわ。高校生になったら、ようやく人並みに生活していけるんだ。と思ってましたの…でも、1つ予想外な事がありましたの…」
「それが親戚の太一が亜沙美と仲良くしてた。って事なの?」
ロミータから核心を突かれた梨香は、一瞬身体が「ビクン」と跳ねた!彼女(ロミータ)には思っていた以上に自分のことを理解されていた事を改めて知った梨香
「これ以上、太一君のことで亜沙美ちゃんに負けたくない!って思ったら、身体が勝手に動いてしまっていて…」
「Kissしちゃった。って訳?…聡明な梨香にしては後先考えのない行動をしちゃったのね。分かったわ、梨香の気持ちも多少は理解できる。あと、亜沙美には謝らなくても良いわよ」
「(; ꒪ㅿ꒪)えっ?どうしてですの?」
正義心の強いロミータのことだから、「人に迷惑を掛けたらキッチリ謝りなさい!」と言われるものだと覚悟していた梨香からすれば、「謝らなくて良い」という言葉は予想外だった
「ロミーはね…亜沙美の事が好きになっちゃったの。梨香のことだから女同士なのに?って思ってるでしょうけど、亜沙美の可愛らしさはロミーの心を常に癒してくれるわ。彼女有りの人生と、彼女無しの人生では決定的に大きな差が付くことをロミーは確信しているの!だから亜沙美は誰にも渡さないわッ!
ましてや突然、梨香からKissされたとはいえ、ロミー達が戻るまで梨香を引き離すこともせずに、あの場でKissを続けていた太一になんて以(もっ)ての外(ほか)よっ!」
「待ってロミー。太一君のことは悪く言わないでください。アレは私(わたくし)が強引にしただけなのですから!」
自分(りか)が糾弾されるのなら受け入れられる梨香だが、想い人の太一を悪く言われるのは引き下がれないようだ
「はっ!梨香はお熱のようだけど、ロミーには太一の良さなんて全く理解出来ないわっ!いっつも周りに流されてる感じで、男らしくズバッとモノも言えないような男なんて、ロミーからしたら論外でしかないわっ!」
「ちょっとロミー、良い加減にしてください!貴女はまだ太一君のことをよく知らないだけなんですから!」
「知りたくないわっ!あんな奴の事なんか!」
「ロミー!!!」
「何よっ!本当の事じゃないっ!!!」
初めて違う意見が出て真っ向から衝突してしまったロミータと梨香。素直に話し合ってみたものの、仲直りの兆しさえも見当たらず今夜の2人は初めて険悪な空気のまま、お互いの部屋で1人ずつで寝ることになった
【亜沙美の部屋】
「明日もロミータちゃんとお昼ご飯からデートする約束しちやったなぁ……う、嬉しいんだけど…またエッチぃ事されちゃったりしないか?心配だなぁ…そうだ!明日のデートは何を着て行こうかなぁ?短いスカートの方がロミータちゃん喜ぶんだろうなぁ…」
立華家ではロミータと梨香が激しい口論を繰り広げていたのだが…鈍い亜沙美は明日のロミータとのデートの事しか頭に無かったようだw
続く