【竹取家の朝】
「ふはぁ〜〜〜…むにゅ〜…朝か…今日は太一と遊園地(デート)だし、そろそろ起きるか〜」
…とは言っても時刻は既に9時になろうとしていた。亜沙美はトースターにパンを入れタイマーをセットした。そして冷蔵庫からバターを出した。亜沙美はバター派だ
続けてヤカンに水を入れ、ドリップコーヒーを煎れる準備に入る。亜沙美は紅茶が嫌いではないが、馴染めなかったのでコーヒー党になった
「ん〜パンが焼ける良い匂いって…あれ?…何か臭わない?…ん〜…もしかして…クンクンスンスン……うわあああっ!?臭いの元、私だぁ!!」
急いで亜沙美はシャワーを浴びる準備を始めた。ボディタオルと替えの下着を用意すると
「チーン!」
ちょうどパンが焼きあがったのだが…
「ごめんね。後でもう1回温めるから、先にお風呂入らせて〜」
…………………シャワシャワシャワ…………………………
「ふう〜さっぱりした。やっぱり1週間も、お風呂に入ってなかったのはマズったねぇ(笑)」
風呂から出た亜沙美はまず身体をササッとタオルで拭き、下着だけ着るとそのタオルで丁寧に髪の水分を取り始めた
「臭うわけだぁ……あっ!?昨日の隣のオバサンと太一……だ、大丈夫だよね?そんな至近距離に近づいた訳じゃな………うわあああ!!近付かれてたじゃん!(汗)寝てる時に揺さぶれたじゃん……臭い女って思われたんじゃ…嫌〜〜!!!」
亜沙美は配信の事ばかりに気を取られ、1週間シャワーすら浴びてなかった事を完全に忘れていたw
「あっ!?時間余裕無くなっちゃう!急いでパン温めなおして…その間に着替えて…服どうしよう?……いつものと似たヤツで良いか?
……だよね!変に気合い入れてるみたいなアピールしたら、どうせ太一もデート慣れてないだろうから引かれちゃうよね」
ザザっと身だしなみを確認した亜沙美は急いで着替えた。更に急いでコーヒーとパンを食べてからもう一度、髪の毛を乾かしに洗面所に向かう。そこで鏡とにらめっこしていた
「ん〜〜いつもはタオルで丁寧派だけど…時間が無いから今日だけは仕方ないっ!」
時間が無いので後はドライヤーでチャッチャッと乾かす事にした。風呂は1週間も忘れてたくせに、髪の乾かし方にはこだわる亜沙美…
(香水付ける?…いや、付けたら変に意識高いって思われちゃうよね?……でも…う〜ん…)
1週間シャワーすら浴びてなかったので、キツくない範囲で軽くふりかけた。後は顔用の化粧水を薄く伸ばしてオーケーにした
「肌のモチモチさ、には自信があるんだから十分だね!良しっ!準備オーケー!行ってきますっ!」
もちろん亜沙美が出掛ければ家には誰も居ないのだが…それでも挨拶する癖は治らなかったし、治す気もない亜沙美
(バス停で待ち合わせた時間……ジャストタイムじゃん!あれ?太一は?……あと5分でバス来ちゃうよぉ?嘘でしょー!!)
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「すまねー、寝坊しちまった!」
「なぁにしてんのよぉ!ほら、バス来るよ!」
もう間に合わない!と思った時にようやく走って現れた太一。何とかバスに間に合ったようだ
「プシュー…扉閉まります。ご注意ください」
バスは遊園地に向かって発車した
予想外な事だったが、マイペースな亜沙美が先に来て時間に正確な太一がギリギリだった事に笑えてきた亜沙美
「ぶークスクス(笑)太一ってばおっかしいの!息上がってるよぉ?」
「珍しく時間通りに来てたからって笑うなよな。俺だって寝付けない日だってあるんだよ!」
「へー…それだけ太一も楽しみにしてくれてたんだ!うっれしいなぁ♪」
「う、うるさいな。男とは遊びに行くけど女と遊びに行くなんて…ねーんだからよ。亜沙美だってそうだろ?」
「うーん…そうだねぇ。男の子と2人で遊びに行くのは初めてかも?…でも私はちゃんと間に合ったよ♪」
遅れて来た太一がどれだけ言い訳をしても、結局は言葉尻を取られてからかわれてしまうのだった
続く