【亜沙美の部屋】
「おい!起きてるのか?…まさか…死んだりしてねーよな?…おい亜沙美!?」
布団に寝転がっている亜沙美は、男に肩を捕まれ軽く揺さぶられている
「ピクッ!?」
(お!生きてはいる様だ…良かった…)
「おい亜沙美!起きろって!」
「ふひゃあぁ……ん!?にゅわああぁ!…んあぁ…ひゃんで太一がいりゅのぉ〜……」
身体を揺すられてボンヤリとしながら、ゆっくりと目を開けた亜沙美は…自分の部屋の中、超至近距離に男が居る事に気が付き慌てて飛び起きた
「きゃああああっ!ち、痴漢ーっ!!」
「ち、ちげーよ馬鹿っ!俺だよ!叫ぶな!」
「あっ!?…太一だった…」
痴漢に寝込みを襲われる!のかと勘違いした亜沙美はイッキに飛び起きると、あっという間に本棚まで後ずさりしていたが……よく見ると、目の前に居る男は幼なじみの太一だった
「なんだ太一か…驚かせないでよね。てっきり痴漢かと思ったじゃないのぅ!」
「違うってんだろ!こんな時間から何で寝てんだよ、お前は!」
「……あーっ!!もしかして…寝てた私に、もう既に何か色々ヤッちゃった後だとかぁ!?」
「人の話を聞けー!揺すって起こそうとしただけで、それ以外は何もしてねーよ!」
「ほ、本当に何もしてない!?」
そう言うと亜沙美は、太一の言葉がまだ信じられないのか?衣服の乱れが無いか?身体中を調べていた
「分かった信じるよ。で、何で私の部屋に太一が居るのよ?」
太一とは幼なじみで、それなりに交流はあったが…寝ている所にイキナリ居られたら当然驚いてしまうのも仕方ないだろう
「お前…今朝も担任から電話掛かって来ただろう?なのに、適当な返事して休む。って言ったんだって?
「変なグループとかに入れられて、悪い事とかやらされてないか?見てきてくれ!」ってお前の担任から頼まれたんだよ!」
太一は熱く語っているのだが…亜沙美はキョトンとした顔をして話を聞いている
「変なグループに?…そんな訳ないじゃん!心配し過ぎだって」
「万が一があったら先生の立場がヤバいだろ?それにしてもよ、まだ高一の4月末だぞ。たったの4日しか登校してないんだから、最悪の事態を考慮してもおかしくないだろーがっ!」
「そっかー…確かに言われてみれば、そんな気もしなくもないね…私のこと心配してくれたんだね…ありがとう太一♪♪」
高校に入って間もなく最初の月が終わろうとしていた。なのに体調不良を理由に、まだ4日しか登校していない生徒(あさみ)がいる。担任としては心配しても当たり前な状況なのだが…亜沙美はボンヤリマイペースに考えていた
「ったくよー。毎日家でゴロゴロしてるだけなんて不健全だろうが…もっと歳相応な生活できないのかよ?」
「歳相応ねー…ねぇ太一…」
「なんだよ?」
「高校生活ってそんなに楽しいの?ほら私…太一以外とはロクに親しい人って居ないしさ…まぁ、それも私のせいなんだけど…私わからないから歳相応の楽しさってのを教えてよ!」
「はあ!?そんなのは自分で考えて選択するもんで、人から教わるモンじゃないだろ?」
「仕方ないじゃん!私そういうのマジで分かんないんだもん!!」
「……………………………………お前なぁ…」
外は夕方から夜の闇に染まりだしていた。そろそろ太一も家に帰る時間になっていた
「ふぅ…分かったよ。明日、土曜日だろ。一緒に…出掛けるか?」
「えっ?…何?デートのお誘いですか?♪」
「ばっ!?お前っ!」
「うん!ありがとうね。喜んでお供する!」
赤面しつつも亜沙美と一緒に出掛ける提案をした太一。こんな態度を取ってはいるが…実は前から亜沙美に対して、異性としての興味が芽生えてはいたのだが…今の彼にはこの行動が限界だった
続く