【翌朝】

「ピンポーン！」

またしてもワチャワチャに終わってしまった配信の後悔と、反省を繰り返しているうちに２時間が経過し寝落ちしていた亜沙美は、翌日の朝１０時頃鳴らされた呼び鈴で目を覚ました

「( ˊ꒳ˋ ) ᐝん〜、こんな朝早くから誰だろう？お客さんかなぁ？」

亜沙美は朝とか言っているが…１０時は「朝早く」ではないだろうw

「ガチャ」

覗き窓から外を見ると隣の家のオバサンが立っていた。不審者とかの知らない人ではなかったので、玄関のドアを開け対応する亜沙美

「…………亜沙美ちゃんのお母様お忙しそうね。余計なお世話だと思うけど学校は行ってないの？………オンラインビジネス？………あっ！在宅ワークの事ね。偉いわね、頑張ってね」

隣のオバサンは小雨の降る中、わざわざ回覧板と来月からのゴミ収集カレンダーを持ってきてくれたのだ

「ぐー……」

部屋に戻ると小腹がすいている事に気がついた亜沙美は【水が無くても作れる讃岐うどん】を鍋に入れ電気コンロの上に置いた。加熱を弱に合わせて洗面所に向かった

「あちゃー！こんな顔で隣のオバサンに会っちゃったよ(汗)まぁ、良いかぁ……やっぱり世間では高校に行ってないのは目立っちゃうんだなぁ…本当、どうしようかなぁ…」

おしゃべり好きのオバサンに毎日家に居ることをアレコレ言われて、今月１６歳になる自分が世間からどう見られているのかを、洗顔しながら少し理解した亜沙美だった

「ズズズズ……ŧ‹"(๑´ㅂ`๑)ŧ‹"ぷはぁ…美味しかった！ご馳走様！水要らずの冷凍食品も侮れないわね♪」

空腹が満たされた亜沙美は鍋に水を張ったが、食器洗いまではせずに自室に戻ると…クッションを枕代わりにして寝転がった

「そういや、チャンネル登録者１０００人超えてたなぁ…今夜の配信で軽くお礼を言っておこ…またゲーム配信、中途半端になっちゃったなぁ…もっと…上手くやら…ないと…」

ここ数日は亜沙美なりにVTuber配信の準備で色々と大変だったので、疲れが溜まっているようだ。母親が常設していたパソコンを借りて使っているのだが…

「今度VTuberやってみようと思うんだ」

と先週母親に相談したところ、彼女は知り合いのツテに頼んでくれてVTuberの為に必要な機材や３Ｄモデルを用意してくれた

反対されるどころか、そこまで協力してもらったので亜沙美なりに真剣に取り組んでいたのだが…

いざ始めて見ると…予想以上に大変だったし予想外の事も色々と起こり、泣いたりトイレ我慢耐久になったりしてしまった。その事をシッカリ反省して改善策を練るなど、配信後も次に向けて段取りしていたのだが…

「くあぁ〜…(；－ω－)ウーン 少し眠いなぁ…まだ１１時か…配信まで時間あるし…少しだけ寝ようっと………すぴー…くか〜……」

初体験となったVTuberゲーム配信を数日こなした緊張から、かなりの疲労が溜まっていた亜沙美はお昼寝を始めた

１人暮らしの悪い部分が出始めている亜沙美は、普通の女子高生の生活ペースとズレが生じ始めていた

【玄関】

「ピンポーン！」

竹取家の玄関前に呼び鈴を鳴らす男が立っている。しばらく待ったが…ドアが開く気配も返事もなかった

(留守なのか？…ん！？玄関のドア…開いてる)

「お邪魔しますよ〜留守ですか〜」

男は大きな音を立てないように、静かな足取りである部屋を目指していく

「ガチャ」

男は亜沙美の部屋のドアに手を掛けると、少し間を置いてから…そのドアを開けた

「くぅ〜…すぴー…」

部屋の中央には、静かな寝息をたてて寝ている亜沙美が居る。その彼女を見下ろす様に立つ男。男は前屈(まえかが)みになると静かに亜沙美に向けて、その手を伸ばした……

続く