目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第8話 学校は怖い

【竹取家 亜沙美の部屋】

喫茶店から帰った亜沙美は悩んでいた


「学校かぁ…どうしようかなぁ…太一は…「嫌なら自主退学すれば誰にも迷惑かけないだろ!」…って言ってたなぁ……確かにそうなんだよなぁ…お母さんならなんて言うかな?」


竹取家は母親と亜沙美の2人家族で、その母親も日常的に国内外を飛び歩いていて、たまに気が向いた時に帰ってくるだけ。亜沙美は母親の事を考えながらスマホを見詰めていた


(母さんに相談する?……うーん、きっと母さんは

「亜沙美が自分で考えて出した答えなら、お母さん何も言いません。ただ、簡単にやり直せない事は本当に良く考えるのよ!」…って言うんだろうなぁ…)


「結局は自己責任って事だよね…どうしようかなぁ?VTuberだって大変だろしなぁ…」


今回は掘り下げないが…亜沙美の母親は高校は卒業したものの…それ以降は自分で全て選択して生きてきた人なのだ

少なくとも亜沙美は本人からそう聞かされてきたし、今まで相談しても「こうしなさい!」と決めつけたりはせずに、基本的には全て亜沙美に判断を委(ゆだ)ねてきた

されたとしても軽いアドバイス程度をするだけで、どちらかの答えに誘導する様な言い回しはしない人だった


「母さんが父さんと結婚した時も周りに反対されてたけど…母さんが惚れたから!って周りの反対意見を押し切ったとか、今の仕事も周りから反対されたのに母さんが「やる、絶対ヤル!」って自分で決めたって話だからなぁ…」



誰でも答えを求める時は周りの人間に意見を求めるものだが、コミニュケーションが下手で普段から1人暮らししている亜沙美には、直接相談する相手が居なかった

亜沙美の母親もそうだったのかは知る由もない亜沙美だが…とにかく自分で決めたことに対しては、周りが呆れ返るほどに努力し続ける。それが亜沙美の母親だ


「そうだ!配信中に視聴者さんに聞いてみるのはどうだろうか?………いや、待てよぉ……」


亜沙美は初配信から昨夜までの、計3回の配信中にもらっていたコメントを思い出していた


「(;-ω-)ウーン…優しいコメントしてくれる人も居たけど…茶化すだけの人も何人か居たよね〜……それに、号泣配信でトレンド入りしたばっかりだからなぁ…マジの相談をするのって危険だよねぇ…でも、いつまでも放置しておく訳にもイカないよね…はぁ、学校って怖いなぁ……そうだ!ああいう系なら私でも!」


学校への不登校問題で今後のことを悩んでいた亜沙美。彼女は学校に恐怖心を抱いている

最初は足が竦(すく)んで本当に登校出来なかったのだが…今では「嫌だなぁ…」という気持ちで行かない!そんな感じでズルズルと不登校になっている


学校に行き部活を終えて夕方過ぎに帰宅した時に「ただいまぁ♪」と言っても「おかえり〜♪」と出迎えてくれる人が居なくなった。その環境の変化が、亜沙美を不登校にさせたキッカケだった


……………………………………………


「コレだ!コレならイけるハズぅ!」


亜沙美がネットから見つけ出したのは…

【学校の怪談】だった


「【バイオパニック】みたいに激しいアクションやシューティング要素が入ってないから、コレなら私も配信でやれそうだよねぇ♪」


亜沙美は細かい操作を要求されない内容のホラー系なら、自分も配信でやれると考えたようだ




【その日の21時】

「皆さん、こんばんは!AA(ダブルエー)VTuberの浅宮アミです!今夜もよろしくお願いしますね!」


✱「来たな!」

✱「こんばんは」

✱「続きすんの?」

✱「ホラー抜きで練習したら?」


「確かにね!苦手なホラー要素と、得意じゃないアクションシューティングの要素が重なってると、アミにはハードル高い気がするわ(汗)」


✱「違うのすんのか?」

✱「アミちゃんの悲鳴無いの?」

✱「無理すなやー」

✱「不安しかないが…」


「ホラー要素は残して操作が簡単な…【学校の怪談】を今日はプレイしたいと思います!今夜も1時間のお相手ヨロシクね!」


✱「お!ソッチで来たか」

✱「どうかな?」

✱「アミの悲鳴期待してる」

✱「でも叫びそ」


「もぉ!今夜は泣かないからね!それじゃ、

早速始めて行くよぉ!」


VTuber活動も、どうせするなら結果を出したい亜沙美は、トレンド入りした時に怖がる自分が世間に受けたので、ホラーゲーム【学校の怪談】を今夜の配信にチョイスしたのだが、果たして大丈夫なのだろうか?




続く

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?