【竹取家15:00】
亜沙美は昨夜の配信で泣き疲れたので甘い物が欲しくなり、オヤツのプリンを食べ終えたところだ
「ふぅー、美味しかった!…やっぱりプリンと言ったら神戸屋だよねぇ♪」
今朝の食事を終えた時に冷蔵庫の中が空に近かったので、なるべく自分だと世間様にバレないようにフードを被ったうえにマスクをし、食材の補充を済ませた亜沙美
その買い物の時ついでに好物もいくつか買ったようで、このプリンもそのひとつだった
「さてお腹も満たされたし、夜の配信に向けてそろそろ準備を……あっ!?待てよぉ…」
昨夜の配信の中で、可愛かった客船乗務員(クルーズガール)の突然のゾンビ化(しかも見た目グロ)に号泣しながらも、視聴者のアドバイスに縋(すが)り付き何とか第1章はクリアした亜沙美だった。が…
「そうだよ!今夜の配信は【バイオパニック】の第2章をするって事だよね?……それって…昨日のより怖い内容になるって事じゃない?…いや、当然そうなるよね…やっばぁい!無理ムリ…絶対無理ぃ!!」
15時のオヤツを食べてようやく落ち着いて考えれた亜沙美は、昨日よりも更に怖い内容になるホラー系ゲームに再び挑む事になる。という事をようやく理解した
「どうしよう!?絶対また泣いちゃうよ!……配信までに第2章をプレイしておいて慣れておこうかなぁ?……いやいや、ソレだと配信の臨場感が薄くなっちゃうから面白みも薄れちゃうしなぁ…うーん…」
亜沙美は立ち上がり、紅茶とプリンが入ってた皿が置かれているテーブルの周りをグルグルまわりはじめた……
「そうだ!困った時は【チャットGPI】先生だぁ!」
亜沙美は【チャットGPI】に話し掛けた
たっぷり溜め込んだ情報から的確なアドバイスを出してくれる。と噂のチャットGPIにすがる亜沙美
「ゾンビが怖くなくなるには、どうしたらいいですか?」
「……ゾンビ系ゲームを沢山するか?ゾンビ系映画を観て耐久性を上げることをお勧めします」
「なるほどね……でもゲームに慣れると配信がつまらなくなっちゃうんだなぁ……ん〜……ゾンビ系のゲームって、突然驚かしてくる演出と見た目が耐えられないんだから…映画で見た目に慣れておけば半分はクリア出来るハズだよねぇ♪」
ゾンビ系映画を見て、見た目のグロさに慣れてゲームに怖がっても泣く可能性を下げることにした亜沙美は、既に契約してある映画配信サイトに入りゾンビ系映画を探し始めた
「……………【不死身の愛】…なんだろコレ?ゾンビ系にしては変わったタイトルね。なになに…
「主人公は永遠の愛を誓った奥さんが、突然陰謀に巻き込まれゾンビ化してしまった奥さんを、変わること無く愛しぬけるのか?」
ゾンビ系映画にしてはラブストーリーなんだ…コレなら私でも見られるかも?…うん、見てみるかな…ラブストーリー系だから大丈夫…だよね?」
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ゾンビ系映画と言えば恐怖系の作品がほとんどだが…その中でラブストーリー系のゾンビ映画を見つけた亜沙美は、これなら見れるかも?と思い映画を見始めた
【竹取家17:30】
「( ̄▽ ̄;)はぁはぁ…はぁはぁ…な、なんとか見れた〜……確かにさ、純愛系のラブストーリーだったけど…無理にゾンビ系にする必要はあったのかな?ソレに…奥さんの内面が凄く可愛い女性(ひと)として描いてるのに…顔よ!見た目のグロさは何とかならなかったのぉ!!…でも、まぁ、見た目のグロさへの耐久性も少しは付いた気がするし……まぁ…配信、何とかなる。かなぁ?」
まだ配信の21時までには十分余裕があるので…取り敢えず亜沙美は自室の掃除を始めた。彼女は落ち着かない時、部屋の掃除をするとリラックス出来る性分なのだ。いつもより手間暇かけて部屋を掃除する亜沙美
その時、本棚の上に飾ってある写真が目に入った。亜沙美と父親と母親の3人で撮られた写真
「お父さん、お母さん…」
亡くなってしまった父親と、彼がしていた責任の高い仕事を受け継ぎ年中留守ガチになってしまった母親
その写真を寂しさを感じさせる目で眺めながら、立ち尽くす亜沙美だった
続く