【バイオパニック】
の真の恐怖が亜沙美を襲った。助けるハズだった女の子が目の前で、醜いゾンビへと変化していくその光景のエグさは、怖がりでホラー系アニメから逃げまくっていた亜沙美をチビるほどビビらせた!
「あびゃびゃびゃびゃ!…無理ぃ!むり〜!!」
✱「反撃せーよ」
✱「がぁぁ…鼓膜がぁ…」
✱「あーやっぱりな」
視聴者にはアミの反応を予想してボリュームを下げていた者、無対策で閲覧し続けアミの絶叫に耳をヤラれた者が居た
「ゲボオウッ!」
ゲーム画面ではゾンビ化した客船乗務員(クルーズガール)に噛み付かれそうになっているのを、必死に耐えているクリスニッジ少佐
「ピコーン!」
またも画面右上にタイマーが現れ、おそらくゾンビの襲撃に耐えられる残り時間が表示されたのだが…
「嫌だぁ!無理だからぁ!無理だからぁっ!たしゅけて〜!誰かぁ助けてよぉー!!」
亜沙美はあまりの恐怖からパニック状態になっていて、コントローラーを操作できずに泣き叫んでいた
✱「あー、泣いてもうとるわ…」
✱「Bボタンで窓開いてナイフ使え!」
✱「アミちゃん、しっかりしろ!」
✱「落ち着け」
「ぐすっ…えぐっ…こう?うっ、うっ…」
亜沙美は泣き続けながらも、優しい視聴者のアドバイスに従いゾンビ化した、かつて客船乗務員(クルーズガール)だった者を倒し何とか第1章をクリアした
「ぐすっ…えぎゅ……今日はもう無理でひゅ……うぅ…アドバイスありがとう…ね…続きは明日…頑張るからね…うぐ、えぐ…」
✱「無理すんなよー」
✱「また泣くなよー」
✱「お疲れー。待ってるで」
✱「耳逝きそうだったわ」
「プチン…」
亜沙美は視聴者のアドバイスで第1章をクリアして、その日の配信を終了した。が…
「えぐっ…うぐっ…本当に…怖かったよー」
たかがゲームと甘く考えて始めたのだが…予想以上の怖さに配信を終了してからも、亜沙美はしばらく泣き続けていた
……………………………………………
「グギュルルル…」
「……お腹空いたぁ」
やがて泣き止んだ彼女はキッチンに向かい、冷凍食品の【水の要らない味噌ラーメン】を火にかけ、泣き疲れた空腹を満たしていた
【翌朝】
と言っても昼まであと少しの時間まで寝ていた亜沙美は、冷蔵庫から野菜ジュースを取り出し半分ほど飲むと、トースターでパンを焼き、ヤカンで水を沸騰させ器に【フリーズドライの吸い物】を入れ、ソコにお湯を注ぎ、朝食 兼 昼ごはんを済ませた
「くはぁ……あぁ…昨日はやっちゃったなぁ…ゲーム配信初っ端(しょっぱな)から大泣きしちゃったよ…最低ー、恥ずかしい…んっ!?
Σ(゜□゜)あっ!!待って!もしかして…泣いてる時、おもいっきり地声になってなかったかなぁ?……確認だぁ!」
……………………………………………
「……ほっ。良かったぁ。高音域にスポットあてたまま大きくズレてなかったぁ。アレなら知り合いにもバレてない…よね…」
アーカイブチェックを済ませた亜沙美は、野菜ジュースを飲みながらスマホを弄りSNSの【ニュース項目】で情報を収集しようとした。その時…
【新人VTuber配信早々号泣!】
昨夜【バイオパニック】で泣き叫んだ亜沙美の配信が、トレンド10位にランクインしていた
「う、う、う…嘘でしょ〜!やっちゃったぁ!」
昨日【バイオパニック】のプレイ中、号泣するアミの姿が切り抜き貼り付けされていた!それがリツイートされまくりトレンド入りしていたのだ。野菜ジュースの入ったコップを右手に持ち、左手にスマホを持ったまま…しばらく固まる亜沙美だった
✱「めげるな頑張れ!」
✱「鳴き声、助かる!」
✱「悲鳴、可愛い!」
✱「リアル学生じゃね?」
✱「面白れー女」
✱「あの鳴き方はメス!」
✱「絶対漏らしてるやろ」
など大量のコメントがリプされていた
今後は同じ過ちを繰り返さない様に、特にホラー系のゲーム配信は多少の予習をする!と心に違う亜沙美だった
続く