「……」
伊達政宗率いる欧州連合軍は尾張、清洲城に入った。
しかし、そこから動くことはしなかった。
東海道に居る豊臣方に向けて兵を進めることはしなかったのだ。
「伊達様! 今こそ好機! 東海道の豊臣方の後背をつくのです!」
「左近殿……」
島左近は伊達政宗に意見する。
しかし、政宗はまともに対応しない。
「今、容易に軍を動かすわけにはいかぬ。九鬼水軍のせいで決して少なくはない被害が出た。尾張で地盤を整えねば」
「……確かに、里見の水軍の力を借りてなければ、我々は更に酷い損害を被っていたでしょうな……」
伊達政宗率いる欧州連合軍は里見家の水軍の力を借りて尾張を強襲した。
しかし、誤算があった。
九鬼水軍が伊達軍の襲来を察知し、伊勢湾において海戦が勃発。
欧州連合軍は辛くも勝利したが、被害は少なく無く、荷駄船が集中的に襲われ、兵糧が特に不安であった。
「現在、制圧した城からは兵糧をかき集めてはいるが、ここを治めていた福島正則が出陣しており、あまり無い。東海道に向けて兵を進めるとなると……少々心許ない」
「……まぁ、たしかにここにいるだけで東海道の戦に大きな影響は出るでしょうが……」
伊達政宗は島左近を見る。
「……お主の目的は、織田三郎を始末することであろう?」
「……」
「たった一人に注目しすぎて、大局が見えておらんのでは無いか?」
島左近は答えない。
「岐阜には西から大軍が続々と集まってきている。今東海道に兵を向ければ我々は後背をつかれる事になる。そうなればこの戦は負けだ」
「……たしかに、仰る通りにございます」
島左近は頭を下げる。
「最も肝要なのは豊臣を滅ぼすこと。大阪さえ抑えれば織田も手が出せませぬ。ここは兵が集まるのを待つべきですな」
その島左近の言葉に政宗も頷く。
「うむ。儂の予想では他の戦場では徳川方は負けているだろう」
「は、某も同じ事を考えておりました。単純な兵力差、味方した勢力の差で負けている以上、その結果は仕方がありませぬ。東海道は確実に勝てると踏んでおりましたが」
しかし、島左近は笑う。
「恐らくですが、中山道は確実に負けるでしょうな。相手は真田。毛利に織田が加わっている以上、勝てませぬ」
「……そこで、結城秀康を失うことで徳川の結束を取り戻そうという算段か」
島左近は頷く。
「は。これで徳川は秀忠様を正当なる後継者と認めるでしょう。さすれば、徳川の結束は固くなり、信康様に靡くものも居なくなりまする」
「……しかし、我々奥州連合軍の数は五万程。岐阜にいる敵の数も五万はいるぞ。そこはどうする?」
島左近は立ち上がり、日本地図を広げる。
「水軍は壊滅的な被害を受けましたが、まだ動けまする。大きく迂回し、大阪の町を燃やしまする。もしくは大阪に敵が上陸するという噂を流し、岐阜の敵の数を減らしまする」
「なる程な……味方を増やすではなく敵を減らす、か」
島左近は頷く。
「それでも数の上では我らの方が少ない。どうにか兵を集めたいところ。上杉や江戸本国から兵を何とか集めたいですな」
「そこは秀忠殿のお力を信じるのみ、か」
伊達政宗は立ち上がる。
「しかし、ここでじっとしてるのも俺らしくは無い、な」
政宗はそのまま進んでいき、岐阜の方を見る。
「少し、暴れてやるか。伊達の戦を見せてやろう」