人生の終焉を終えた千春は常闇に居た。
闇の中では、静寂と癒しと懐かしさが混じり合っていた。
真っ暗な闇の中に光が見えた。
眼裏に残るのはあの光のみ。
誰かが名を呼んでいるーーーーーーーーーー
全ての懐かしさを持ったその場所は。
赤子の記憶より遠いその場所はーーーーーーーーーー
さくらが微笑みながら佇んでいた。
若い、出会った頃のさくらだ。
「千春、心残りはもうないみたい、だね」
かわいらしく覗き込む。
「姫ー、千春ー!」
同じく若い姿の暁が、2人を呼んでいる。
「暁君、待ってるよ,。行こう、千春」
暁の所まで行くと、美雪の姿も見えた。
千春は微笑み、光の中に溶け込んだ。
そこは、愛の塊だった。
桜の花の中にいるような感覚にも、似たーーーーーーーーーーーーーー
終