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第2話

裏庭の桜の木に行くと、またあのさくらとかいう変な女がいた。千春はさくらから離れて座った。

「千春」

「えいっ」

さくらはまたさくらのはなびらを降らせてきた。 千春の心は何も感じることはなかった。

「私は、千春の事一年生の時から知ってたよ。でも千春は有名な子だからなかなか話しかけられなかったの。この間初めて話しかけた時はとても緊張してたんだよ、これでも」

さくらが頬をうっすら染めながら話した。

(この子、おれの事好きなのかな…)千春は、好意を正直に表現するさくらを見てそう思った。自惚れているだけなのかもしれないが、千春は女子に好意を寄せられるのは、慣れていた。 さくらの事をよく見る千春。

(顔は、可愛いと思う。声もあどけない甘い声だ。)

「何、千春。じっと見られると、照れちゃうよ」さくらが言った。

好意を持たれてるのは、わかっていたけど、その好意が重たく感じた。


それから、何回か、さくらとあの裏庭の桜の木で会った。でもその日は桜人の姿がなかった。

(どうしたんだろう。いつもいるのに)

寂しい、と感じた。いつものうるさい人がいないからそうかんじたのだろうか。

「千春ー!!」

「ごめんね、友達と話してて遅くなっちゃった。 あ、その顔!さみしかった?」

「別に…さみしくないし」


それからも、さくらと裏庭の桜の木で会った。 さくらはおしゃべりで、聞きもしないのに、クラスメイトの事とか、先生のこととかをずっと話してた。 いつかその時間が俺にとってかけがえのない、大切な時間になってた。


雲の間に太陽が隠れていたのが見えていたのに、ふり返えると、桜雲の中にかたぶいている。光の粒が、桜雲から溢れ出て、千春は目を細めた。

隣に座っている、さくらを見た。顔が熱くなっていく。

「千春のほっぺた、桜色だね。…わたしのほっぺたもきっと桜色だ。あの桜の木に負けないくらい」

さくらは、千春に桜のはなびらを降らせながら言った。俺は胸の鼓動が速くなるのを感じた 。でも、あの時俺は、まだ自分がさくらの事を好きだという事を認めたくなかったーーーーー



その日も美しい桜を、二人で桜狩りをしていた。青空と,桜の花のコントラスが美しく、俺は桜をずっと眺めていた。いつもの通りさくらがおしゃべりをしている。不意に、それが途切れたーーー

(この子にキス、したいな)

そうゆう、雰囲気でもあった。 千春は、さくらの唇にくちづけする。 唇は、ひんやりとしていた。

若さゆえに、そのまま激しく唇に口づけをした。 脳天がしびれるような、甘いような感じがした。 さくらを抱きしめる千春。 女の子って、俺よりずっと強く感じるのに、体はこんなに華奢なんだな。強く抱きしめると、壊れそうな感じ。

学校のチャイムが鳴った。

「千春…、授業に遅れちゃうよ…」さくらが、胸の中で呟いた。

「離れたくない」千春が囁く。

さくらは、千春の体に腕を回した。


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