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第80話 盲侯惇! (6)

「夏侯惇! 貴様~! 良くもアーシの上田仲穎をやってくれためぇ~!」

「上田先輩の仇はうちがとっちゃぁるけぇねぇ。覚悟せぇやぁ~、夏侯惇~!」


 うぅ、うううっ、やばい……。僕の大事な二人でもある張繡さんと樊稠さんが、自分の両手を合わせ、指の関節をボキボキと鳴らし、威嚇をして、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる男……。どうやら名前の方は、余りには詳しくはない僕でも知っている奴……。男だったよ……。


 そう、奴の名は【夏侯惇】……。三国志の物語を一度でも読んだことがある者達やアプリケーションゲームをプレイしたことがある者達ならば必ず知っている超有名人……。奴はその転生者……。英霊の証持ちなのだと僕も理解さえできればね。

 僕が何故の魔力を感じることもなく、安易に彼の接近を許し、夏候惇の蹴りを真面に食らう羽目にもなったのかも理解ができたのと。

 この力が三国志の中でも強者達だけが持つ力、【一騎当千万夫不当】の力なのだと言う事も僕は理解ができたのだ。


 だから僕は「うぅ、ううう」と呻りながらも、自分の脳内で二人はこのままだと不味いなと思うのだった。


 だってあいつ! 夏侯惇の奴は! あの軍神関羽と打ち合いをして敗走することもなく、同僚のが駆けつけてくるまでは打ち合いをしていたはず……。


 まあ、それくらいの一騎当千万夫不当の猛将だから張繡さんと樊稠さんの二人……。


 そしてリちゃんを合わせた二人でも少し厳しい気がする……。せめて牛輔君が郭嘉さんの不意打ち奇襲を受けずに無事でいれば何とかなるかも知れないけれど……。


 うううっ、何で今日に限りを仲間外れにしておいてきたのだろうか……。


 僕は今日の軽率だった自分の行動を恨み、自戒をすれば。


 引かなかって書いてあったな……』と僕が脳裏で呟くと。


「(よう、相棒よ。久し振り)」


 僕の心の奥底でまた眠りに入ったはずの《《魔王董卓仲頴》」が自分の目を覚まし。僕に語りかけてきた。


「(ひ、久し振り……。魔王何……?)」


 僕は恐る恐る、自分の心の中にいる奴へと話しかけた。




 ◇◇◇


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