虐待や戦争によって、無情にも命を落とす動物達。飼い主の事情により、やむを得ず殺処分されるペット達。これらの憎しみに満ちた怨念が、やがて魂を邪霊へと変貌させる。だからといって、悪いのは動物ではなく、いつの時代も身勝手に振る舞う人間達。
とはいえ、中には慈しみに満ちた心で、優しく手を差し伸べる人だっている。したがって、世に存在する全ての者が悪とはいえないだろう。このような理由もあり、浄化の力を使う前には必ず
こうした想いを伝えるために、
そんな思いもよらぬ衝撃に、
「こん。さっき私はね、能力の違いを説明したかも知れない。だけど本来の意味は必ずしもその通りとは限らない。だから
「苦しんでいない? でも
辛く哀しそうな表情を浮かべた
「こん。そうね、でも勘違いしないで欲しい。押さえつけていると言ったのは、邪霊を滅する時の
「もう一つの……?」
動物は鳴き声やフェロモンにより、お互いの意思疎通を図ろうとするもの。一方で、人間は言葉や文字によって、相手に気持ちを伝え合う優れた存在。
にもかかわらず、情勢は貧困による格差から、終わりの見えない戦争へと発展してきた。それは言葉といった表現ではなく、暴力によって解決しようとする悲しき現実。自らの意思を理解して貰うには、それほどまでに難しいものであるといえた。
ゆえに言葉巧みな
分かり易く説明したつもりが、余計に
「こん。たしかに
「ひょっとして……それが、
「こん。そうよ、温もりのある心と静かなる優しき心。この刻まれた二つの想いがなければ、決して扱うことが出来ない
「やす……らぎ? だけど僕には浄化されていく時の気持ちなんて分からない。だから実際は、本当に苦痛を感じているんじゃないの」
先ほど
「こん。その事だったら、何も心配いらないわ」
「心配いらない? なぜそう思うの」
「こん。だってね、私はこれまでに幾つもの魂を解放したのよ。と言っても、残念だけど浄化はしてあげれない。でもね、ゆっくり天へと帰る姿は、まるでお礼を言っているようだった。だから安心して、切実な想いは必ず通じているはず。
遠くの空を眺めながら、真剣な眼差しで熱く語る