こうして恥じらいながら、しばらく向かい合う二人。何を話せばいいのかと、緊張した面持ち。お互いよそよそしく、なにやら落ち着かない様子。
とはいっても、次の行動に移さなければ何も始まらない。このような理由から、
「じゃ、じゃあ……。今日の誕生日は、僕と一緒にいてくれるってこと?」
この展開から察するに、間違いなく春の到来に違いない。とはいっても、何が起こるかは分からず、最後までは気が抜けない状況。これにより、
「その前にね、一つだけお願いがあるの」
「お願い?」
「うん。
「変なこと……? っていったら、あのことだよね」
「そう。だからね、そんなことを言わなくても
「ありもしない? いや、僕は本当のことを言ってるだけ。いまもね、ピンクの首輪した黒猫が
「ピンクの首輪? ――もしかして、くぅーちゃんのことを言ってるの?」
「くぅーちゃん? ……かどうかは分からないけど、ずっと足元で嬉しそうにしてる」
「そっ、そんなはずないわ! くぅーちゃんは一週間前に亡くなったのよ」
「でも、現にそこで鳴いてるんだけど」
「どうしてそんな事をいうのよ! そこまでして私の気を惹きたいわけ」
「いや、そんなつもりじゃなくて、僕はただ……」
「もういいわ!
「――待ってよ、
「それは記憶のない
これにより、もと居た場所では気持ちの負担も大きかろう。もし記憶想起したならば、心が壊れてしまうんじゃないか。そう感じた祖母は、
「気の毒……かぁ」
よほど伝えられた言葉がショックだったのだろう。
「少し言い過ぎたかも知れないけど。辛いのは
「でもね、聞いて。黒猫はそんな
「私の言ってる意味がまだ分からないの? 人の心を弄ぶのはやめてっていってるの!」
「弄ぶだなんて、
「分かる? もういいわ、これ以上話しても
必死に伝えた
こうして一人残された