下駄箱の中へ置いた手紙。それは多分、ラブレターのようなものかも知れない。なぜなら、
そんな浮かれた状況の中、一日の授業も気がつけば夕刻時。気持ち高ぶっていたせいか、時が経つのは早いもの。担任が最後の伝達を済ませ、終礼を終えた瞬間――。
席に姿はなく、すでに教室の外。慌てて何処かへ向かっていた。その姿から窺えたのは、トイレを我慢していたような急ぎ振り。足早に中庭を抜け着いた先は、校門ではなく校舎裏。
状況から判断できることは、言うまでもなく帰宅ではない。となれば、一連の流れから予測すると、手紙に関する一件のみ。おそらく、伝えたい想いがあるから呼び出した。こう考えればある程度の事情は察しが付く。
そんな想いを抱えながら、やがて
「
どうやら待ち合わせ時間には、少しばかり早い様子。とはいえ、待てど暮らせど誰一人としてやってこない。これにより、不安や焦燥感に駆られる
そこに映し出された光景は、なんとも美しい樹々が連なる桜並木。――かと思いきや、全ての花びらが舞い散り過ぎ去ったあと。けれども、一つだけ不思議な風情を醸し出す桜が咲いていた。
なんとも不可解な情景。それは風に吹かれながらも、
――その時だった。
「ごめんね、
「いや、僕もいま来たとこだから、全然大丈夫だよ」
「そっかぁ、じゃあ良かった」
「それよりも、突然呼び出してごめんね」
「そんなことないよ。少し驚いてはいるけどね」
「ということは…………僕が渡した手紙を読んでくれたということ?」
「うん。
どうやら話の内容からして、二人は知り合いなのかも知れない。というのも、
このように思われるが、それもそのはず以前から二人の家は隣同士。といっても、古くからではなく数年前に
そんな事情もあってか、二人は小学生の頃から顔なじみ。一緒に遊ぶこともよくあり、とくに仲が良かったといえる。
これにより
「えっ。それって、まさか……?」
「その……何ていえばいいんだろうね。こういうの私も初めてだから」
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