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第73話 世界最初のハネムーン (16)

「あら~、自信がないのですか、マヤさま~?」



 わたくし達の祖国の海軍都督……。世界最強と謳われたスパにスパニッシュの艦隊を何度も退けたことのあるドレイク提督の愛娘であるマヤさまに現実を突きつけられて下を向く御二人……。


 だからわたくしはそろそろルドア閣下王子さまに仲介に入ってもらい、三人の口論を止めてはもらえないだろうか? と思いつつ、背中をチラチラと見詰めていると。


 アイラさまがシンチョウ国から王子さまが輸入したらしい珍しい鳥の艶やかな羽で作ったらしい扇子で自分のことをパタパタと仰ぎつつ、如何にもマド島の女王さまらしい振る舞いで、優雅に微笑みながら遠回しに、我が国の艦隊で敵国を討伐する自身はないのか? と尋ねた。


「何の事ですかアイラ様?」


 わかっていても、わからぬフリではないですが? マヤさまは自分の口ではハッキリとした言葉を告げずに遠回しに尋ねた。


「何のことって、我が国の精鋭部隊で敵の船団や海賊船を討伐できないか? ということですよ。マヤさま……」


 言葉を選んで回答したマヤさまに対してアイラさまはもう完全にイングリッシュ王家の者ではなく、インドア帝国の王子……。マド島の都督であり。マド島の王さまだと言っても過言ではない、海軍都督で、次期王位継承に一番近い王子だとわたくしの祖父やイングリッシュ王国の女王陛下が太鼓判を押す第四皇子さまの妃らしく、インドア帝国自国の水兵は世界最強だと言い切りながら尋ねた。


「ですから、その件は、先程御二人に説明をしたと思うのですが? あの説明では、アイラさまは納得できませんか?」


 アイラさまの不敵な微笑みを見てマヤさまはムッと不快感を募らせた顔と重たい口調で尋ねる。


 でもアイラさまは、そんなマヤさまの様子を見ても笑みを切らすこともなく。


「シルフィーヌさま」


 御二人のバトルを見て、実際のわたくしは落ち着いて様子を見ている訳ではなく。困惑しながらオドオドとしているわたくしへとアイラさまが尋ねてきたので。


「あ、あの、何ですか、アイラさま?」


 わたくしは作り笑いを浮かべながら彼女へと言葉を返した。


「陛下が魔物の武器と防具を所持ているとわらわは女王陛下伯母さまから聞いたのですが。それは誠の話なのですか?」


 アイラさまが王子さまの秘密……。それも親族でも一部の者しか知らない事実を故郷の女王陛下から直接教えてもらったのだが、真相はどうなのか? と王子さまの従妹であるわたくしへと尋ねてきた。


「「えっ!」」


 アイラさまの言葉を聞き、ララさまとレビィアさま……。そしてマヤさまも当たり前のように驚嘆したのだ。


 だって大変に恐ろしい大型や中型……。そして人型の強力なモンスターを倒すと手に入るらしい、人智や魔力も超えた魔法武器と防具……。それを持てる者は天運に選ばれた最強の英雄のみなのだ。


 だからわたくしの王子さまを次のインドア帝国の皇帝陛下に押す者は多いい。


 それにはわたくし達のガンダーラ三世義父も含まれているのだ。


 特にガンダーラ三世義父は武を好む傾向にあり、わたくしの王子さまは、幼い頃から親元を離れ、世界最強のウォーリアーであるサムライウォーリアーになるべく、和の国の叔父さまと叔母さまに預けられて、幼い頃から武に智某、戦術に長けるように勉学に励まれてと言うか? 強制的に教え込まれ、水軍はマヤさまのお父さまと双璧をなすほど有名なホンゴウ提督から学んだ……。


 そうガンダーラ三世義父が、次世代の皇帝にするために、お兄さま達とは違い、徹底的な帝王学を学ばされた人だと従妹のわたくしは知っているので、相変わらずデッキチェアー横たわり、寝たふりをしながら素知らぬフリを決め込んでいる王子さまの背をチラチラ見ながら。


「はい、そうです。殿下はボスモンスターの特殊な武器と防具を所有している。この世界でも数少ない英雄さまでございます」


 とわたくしは他の妃さま達へと、にへらと笑いながら説明をした。



◇◇◇






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