「そうですね、マヤさまの言われる通りで、兵士達に疲労が溜まり、士気が低下をする可能性があるかも知れませんね」
「そうでしょ、ララ様」
「ええ、マヤさまの言われる通りで御座いますが……」
マヤさまの言葉に納得をしたように見えたララさまなのだが、やはり彼女も一筋縄ではいかないタイプのようでございますから。彼女は一旦言葉を区切ると、ニコニコと満身の笑みを浮かべつつまたマヤさまへと屁理屈を告げる準備へと入るのだった。
「……しかしですね、マヤさま……。ララが思うのはやはり、兵士達は海上での実践経験を多く積む方がよいと思います……。それにもしも敵国の船団や海賊船などが我が艦隊を遊覧船や商船……。奴隷船だと勘違いをして猪突猛進を決行してくれれば、ララとしては好都合……。早く実践経験を積むことができます……。またそうなればこの命を早く帝国のために捧げることが可能となりますから、ララは戦になる方が嬉しくて仕方がありません」
ララさまがマヤさまへと言われたことは、本当に大人びていると言うか……?
まあ大変に凄い! でも恐ろしいことを歳相応の少女らしく、キャキャはしゃぎながら告げてきた。
「あの、ララさま……?」
自分の目の前で戦が楽しみ、早く戦をしたいとはしゃぐララさまをマヤさまは呆れた顔、声音で呼べば。
「何ですか、マヤさま~」
ララさまは、キャキャとはしゃぐ行為を辞めて……いないか。(笑)
だからキャキャと嬉しそうにマヤさまへと声を返した。
「ララ様の私利私欲の為、ストレス解消……。自分のスキルアップの為に戦がしたいと申されていますが。そんな好戦的な考え方を殿下の妃や上に立つ者がすれば臣下の者達も困ると思いますし。殿下もララ様の事を呆れ、御怒りになると思うので辞めた方が宜しいのでは?」
キャキャとはやしゃぐ、未だ幼さも残るララ様へとマヤ様は釘を刺した。
だからララさまは年相応に、年上の女性から叱られ下を向くと言うことはない。彼女は幼いながらも人の上に立てると女王陛下が見込み、女の身であるがために、産まれ故郷だとその才を使用することもなく、子を産み老いて生涯を終えるのは忍びないとルドア兄さまへと授けた一族の優秀な姫さまだから。
ララさまは下を向くことなどしないで、マヤさまのことを自分の目を細め、引かぬ様子で見詰め返すから二人は対峙──睨み合いを始めだすのだった。
◇◇◇