第67話 世界最初のハネムーン (10)
アイラさまはシンチョウ国の煌びやかな鳥の羽でできた団扇で、自分自身を仰ぎつつ自信満々に高笑いをしつつ告げる。
だから私やマヤさま、レビィアさまも驚愕……。自分自身の目を大きく開けながら唖然としつつアイラさまの高飛車振り……。もう既に女王陛下気分なのだが、彼女は大丈夫なのですか? と困惑しながら言いたいところではあるけれど。
私の王子さまが実父であるガンダーラ三世から褒美として与えられたマド島なのですが。あの島は、島と言っても私の祖国であるイングリッシュ王家のある島国と余り変わらぬ大きさなのだとお爺さまやお父さま……。ルドア兄さまに幼い頃から教えてもらっていた私ですから、アイラさまが女王陛下気取りでいても可笑しいことではない。
だから私はアイラさまの威風堂々……。みんな王子さまと自分についてきなさい~! と威張っていえるところは流石……。我が里の女王陛下の一番血の濃いい公爵家の令嬢さま……。姫さま……。アイラさま……。
女王陛下の御意志や御希望……。
そしてガンダーラ三世の思いと意志……。叔母さまはどうだろう? ガンダーラ三世と違い、叔母さまは余りルドア兄さまをインドア帝国の皇帝陛下にしたいと思っているようには見えないと、幼い頃の私は思っていたし。家のことなど女性の身である私には関係ないことだとも思っていたけれど。
私はイングリッシュ王家の血を引く女性であり、一族の長から私達の王子さまをインドア帝国の皇帝に就くためのサポート役に選ばれた妃であり、お爺さまにもルドアお兄さまのことを頼むと言われ、家のためにその身を投げ出すようにと両親からも指示を受けている者達ばかりなのだから威風堂々……。
アイラさまのように自分のビキニ水着姿を他人から卑猥な目で見られていようともたじろぎ、羞恥することなく自信満々、優雅に振る舞えるところは見習うべきだと、私はメモ、メモと王の妃になるための知識として、脳裏にかき込むのだった。
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