そう、一族の皆はこの人が……。海のならず者達……。海賊の長である、我が国の海軍都督であるドレイク提督が恐ろしくて仕方がない。だから彼の御機嫌取りはしてはくれる。
でもそれは傍から見ても行為がある訳でもなく、只の御機嫌取りをしていると分かるものだから、あの人は余り良い顔をしていない。
だからあの人は、一人娘である私を一族の男性の誰かに売り、女王陛下との血の繋がりを更に濃いいものへとしたい思い。我が家を更に盤石なものへとしたい思いがあった。
パチン!
やはり私が父に将来を約束した大事な人がいると説明をすれば直ぐに平手打ちを食らう羽目に陥る。
「きゃぁ~!」
私は悲鳴をあげつつお父様と学園長の目の前で床に倒れ込んでしまう。
でも私が床に倒れたぐらいで、父の怒りは収まる訳でもなく。
「マヤ! お前はー! 儂の顔に泥塗る気かー!」
私に怒声を吐くのだが。それでも父の怒りは収まらない。
「それにマヤ! 儂がいつお前に彼氏を作って良いと告げた? この魔法学園に入学させたのは。お前に少しでも良い縁談話がくるようにと花嫁修業の一環と、令嬢らしい素行を身につけさす為に入学をさせる為なのだと。儂はマヤ、最初にお前へと告げた筈だ。それと彼氏も絶対に作るような事はしないようにと。私はお前に何度も釘を刺した筈だ! マヤ! お前、忘れたとは言わせんぞ!」
これだけ私へと罵声を吐こうとも父の真っ赤な顔……。憤怒した顔は収まらずに「はぁ、はぁ」と息が荒くなっている父へと私は床を見詰め、彼とは目を合わせないようにしながら。
「は、はい。お父様……。私もちゃんと記憶しております……。でも、中々結婚話しがこなかったので、ついつい以前から告白を受けていた殿方に返事を返して、お付き合いを初めてしまいました。本当に申し訳御座いません……。けれどお父様……。私達二人は本気なのです……。だからお許しを……。お父様……」