第48話 女王陛下からの招待状(27)
「お父様、あのですね?」
「……ん? どうしたのだ、マヤ?」
「あ、あの……。私には好きなひとが……。愛するひとがいます……。だから女王陛下からの婚姻のお話しを御断りしていただけませんか?」
私は自分がこの世で一番恐ろしいと思うお父様が一族……。いや家の為かな……? いや、やっぱり違うな……? 娘である私の為かな……? いや、そんな事は無い。無いはずだ。あの人……。
そう私の父なのだが、彼は今でこそ、このイングリッシュ王国の海軍都督……。この国の女王陛下の一族のお母様まで嫁として頂き、爵位も伯爵位……。王家の一族に名を連ねる大出世を一代でした英傑だけれど。元は卑しい平民……。漁師の家の子として産まれ、漁業がするのが嫌だから家を飛び出し、海賊へとなり大海原で大暴れ、このイングリッシュ王国の敵対国と海の上で紛争……。海賊行為を続ける中で、女王陛下に声を掛けられ、新たに作る海軍の都督として、高待遇で自分に仕えないか? と誘われ。私の父はイングリッシュ王国の女王陛下クイーン・エリザベータ・ガイへと膝をつき忠誠を誓い、今の地位を手に入れた新興貴族……。
まあ、成り上がり者と言う奴だから、同じ一族内でも肩身が狭い思いをしていると言う事はないか?