トン! トン!
「学園長、参りました」
私は学園長の部屋の扉を、叩き声をかけた。
「おっ、マヤ君かな? 部屋へと入りなさい」
学園長の部屋の扉を叩くと彼の明るく穏やかな声音で部屋に入るようにと告げられた。
「はい、では入りますね、学園長……。失礼します……」
この学園の生徒会長も務める私ですから、学園長の職務室へと入る機会が多々あるので、躊躇うこともなく部屋の扉を開け、部屋へと入る。
そして私は学園長へと作法に添って礼儀正しく一礼をしたのだ。
「マヤ、久し振りだな、元気にしていたか?」
私が学園長へと一礼をすれば耳へと聞こえる筈の無い声音が聞こえてきた。
「えっ!」
だから私は驚嘆した。でも直ぐに自分の頭を上げ。
「お、お父様! どうされたのですか? 急に学園の方へとこられて、もしかして我が家に何か災いでも起きたのですか?」
私は滅多に学園へと訪れる事が無い父の姿があるので狼狽しながら尋ねたのだ。
だって私の父は海の男……。
それも大変に気の荒い男性であり、娘に対して過保護でもないし、自分が勉学や魔法に対して興味があり、子供の教育に関しても熱心な者では無い。