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第28話 女王陛下からの招待状(9)

「はい、わかりました。婆や~。わたくしは直ちにお父さまのところへと向かいますわね~」


 わたくしは大きな声で婆やに了承したと言葉を返し、終われば。わたくしは自身の顔色を変えながら慌ててお父さまの許へと向かう。


 だって我が一族に、何かしら不幸が遭った可能性がある。


 だからわたくしはお父さまのいる部屋へと向かい、到着すれば。


《ドン! ドン!》


 と部屋の扉を叩き。


「お父さま~、部屋に入りますね~」と言葉を漏らしながら、部屋の扉を勢いよく開けた。


 そして部屋の中へと入ると。


「お、お父さま! 我が家に何か一大事! 不幸でも遭ったのですか?」


 わたくしは自分の顔色を変えながら父さまへと尋ねた。


「……ん? ああ、ララ……。女王陛下から君への結婚話だ」


 お父さまは苦笑いをうかべながらわたくしへと告げてきた。


 だからわたくしはお父さまの顔色を見て──。お父さまの望む結婚話ではないのかも知れない? と瞬時に悟るから。


「お父さま、わたくしの結婚の相手はどちらの貴族さまなのですか?」と尋ねた。


「う~ん、あのなぁ?」


 お父さまは、今度は大変に困った顔……。今にも泣きだしそうな顔をしながら一人娘のわたくしへと。


「ララ、君の結婚相手は、インドア帝国の王子だよ。困ったなぁ……」と気落ち、落胆しながら告げてきた。


 でもわたくしは女王陛下の下知で今にも泣きだしそうなお父さまとは違い、真逆な思いだから、歓喜……。


 そうまさか己の身に、ファンタジーな物語のヒロインみたいな、異国へと嫁ぐような……。


 それもインドア帝国と言えば、我がイングリッシュ王国からは船旅でしかいくことができない遠い地……。夢の大陸なのですから。

 今にも泣き出しそうなお父さまには悪いのですが、わたくしは自分の開いた口が塞がらないほど歓喜してしまうのだった。




 ◇◇◇



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