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怨霊・呪詛の一因。 ~30年も放置したパワーストーン。1~ (2025-4-23)

 前話を執筆していた時点で、大まかな解決を見たかと思ったのです。


 …その手の知識がある人は、タイトルで察しがつくと思うのですが…。


 今の事態は、依然として厳しいものだったのです。


『何処かで、怨霊や呪詛が蠢いている』


 そうは問屋が卸さない状況に、私は頭を痛めました。


 お陰様で、仕事が忙しくなり始めた頃、妻のマインドが少しだけ崩れ始めます。


 病院に行くほどではありませんが、私に苛ついたり、気乗りしなかったりするのです。


 私の接し方が間違っている訳ではありませんが、弟や従業員やお客と話しても、近頃は私と話が噛み合わなかったり、周りを不安にさせる要素があったりして、対人面での運気がゼロ状態です。


『参った。まだ、何か憑かれてる感じはあるなぁ。仕事が出てきた事は、とても有り難いが、何か奇妙な感じだ…。』


 そんな奇妙な違和感と嫌な予感がある一方で、1ヶ月程度前から、実家にある1つの部屋が気になっていました。


 -それは、応接間です。


 うちの実家の応接間は、創業当時、工場の敷地内に事務所がなかった影響で、工場に隣合わせで建っている実家の応接間が、会社事務所の役割を果たしていました。


 そういう理由から、ソファーやテーブル等があったりするのですが、20年以上前に、私の父が会社の敷地内に事務所を建てたお陰で、実家の応接間は、その役割を終えます。


 それと同時に、応接間は次第に、家の物置と化していくのですが…。


 -さて、ここからが本題です。-


 私がまだ、中学生だった頃、父が経営していた町工場は人手不足の影響から、顧客からの紹介で、日系のブラジルの人を採用しました。


 今も状況は変わりませんが、小さい町工場ですから、父と数人の従業員で精一杯の状況です。


 長男の私も、まだこの頃は、中学生ですから、本格的に仕事を手伝える状況ではありませんが、休みになると、工場内の清掃をやらされていたオチがあったりして…。


 その日系のブラジル人が、同じ日系の人と結婚することになって、挙式などのために、しばらくの間、ブラジルに帰国しました。


 そして、日本に再び戻ってきた時に、今、考えれば、トンデモないものをお土産として頂いたのです。


 ブラジルの甘すぎるチョコレート等のお菓子と共に、応接間の置物として、紫水晶(アメジスト)の結晶が集まったクラスターが2つ。


 大きいもので、7cm×15cm、厚みが4cmは下らなかった気がします。

 それに、紫水晶の小粒の石が沢山…。


 そして、デュモルチェライト入り水晶の塊…、青い色をした宝石に、水晶のクラスターが雑じっているような原石を磨いたような感じで、直径で15cm厚みが4cm程度あるモノが1つ。


 これだけでも、パワーストーンマニアからしてみたら、お土産として頂けるのは垂涎モノかも知れません。


 30年前のブラジルですから、物価も相当に安かったでしょうし、この手の石が採れる採掘場も多いと予測できますから、お土産として渡すには、価格面からしても最適だったのだろうと思います。


 その日系ブラジルの夫婦は、数年後にウチの会社を辞めて、ブラジルに帰国をしてしまいます。


 問題はその後でした。


 私や弟が本格的に家業の町工場の仕事を手伝い始めてから、私の父は事業拡大を進めて、工場の敷地内に事務所を建てたり、工場の増設や設備投資を繰り返しました。


 事務所を作った当初は、まだ、良かったのですが、事務所が建った事によって、徐々に実家の応接間を使う機会は薄れていきますから、応接間は実家の物置と化していきます。


 ◇


 -それから30年。-


 会社は5年前からコロナ禍をやり過ごしたと思ったら、この次は自動車メーカーの不正問題などで、地獄の苦しみを味わって、もう経営は火の車です。


 創業者の父は3年前に亡くなり、母は敗血症で倒れて、実家に戻れない日が訪れました。


 泣きたいぐらいの不運続きで、これを執筆している1年近く前から、工場内の機械や機器が相次いで壊れたり、私が胸腺腫になって手術を受けたり、お世話になった従兄が亡くなったり、とても地獄の日々が訪れています。


 次に起きたのが、前話でも触れている怨霊や呪詛の騒動でした。


 豊川稲荷のお力もあって、会社や母の病状に関しても、少し良い方向に向かおうとしていますが、怨霊の類は、力を弱めながらも、私の家や実家、それに工場内を蠢いている感じで、全てが解決したとは、到底、思えない状況です。


『少しずつ呪詛や怨霊の力を削ぎながら、最後は浄霊をする形になるけど、しぶとすぎる…』


 実際のところ、これが率直な今の感想です。


 妻は、近頃、色々な事でストレスが溜まっているせいか、フラストレーションがあるのは、何となく分かりますし、私も下手なことは言えません。


 そんな中で、朝、息子が高校へ行く支度をしている時に、妻が誤って落として茶碗を割ってしまいます。


『何だか嫌な予感がするなぁ。』


 妻には、豊川稲荷や成田山に行くように勧めますが、妻は精神的に、かなりの迷いがある状態で、私に対してフラストレーションが相当に溜まっていて、かける言葉が難しくなりました。


 妻や家族を不運にさせて、家族全体や会社を不幸にしている責任は、全て、家長である私にありますから、妻に強いことなんて言えません。


 そんな中で、私は必死に母の介護施設を探すために仕事の手を止めて、病院の連携室の職員と話をしたり、ケアマネージャーと細かい相談をする日々が続きます。


 さらには母のお見舞いに行ったついでに、介護施設に行って話を聞いて、脈がありそうな場所は、入所申し込みをしたりしました。


 それでも、どこも満所なので、すぐに受け入れてくれるような施設が見つかりません。


 そんな事が幾度も繰り返されて、私が忙しすぎるあまりに、妻のフラストレーションが溜まるのが明らかに分かりましたし、家のことをあまり見られずに、家族内が崩壊てしまう危機感すら、私は覚えはじめました。


 妻のフラストレーションが溜まった背景には、そんな原因があったのは確かですが、私が色々なことで忙殺されている要因ばかりではない、気がしていたのです…。

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