祈祷中に、会社や私の名前が呼ばれると、お坊さんに本尊にお参りをするように案内をされました。
本堂の本尊に置かれている仏像などは、左・中央・右の3つに別れていて、中央にいる吒枳尼真天以外は、何の仏様なのか、よく分かりません。
後日、ネットで調べてみると、十六善神や愛染明王なども鎮座していましたが、あの時は、参拝の順番待ちもあって、後ろの人も並んでいるし、サッと手を合わせる程度しかできなかったので、具体的には分かりませんでした。
本堂の本尊に手を合わせたあと、私たちが待機室のほうに向かうと、専用のカウンターがあって、御札や御供酒、ご供物などを受け取りました。
*吒枳尼天さんは『仏』である為に、『御神酒』とするのは違和感があったので『御供酒』と書かせて頂いています。
御札などを受け取って、祈祷も終わったので、祈祷の待合室がある建物から出ようとしたところ、館内にある看板に目が留まりました。
『2階に釈迦如来、観音様、薬師如来が鎮座されています。ご自由にお参りください』
私と弟が2階に上がろうとすると、私の後ろから、お坊さんが声をかけてくれました。
「2階の部屋が暗いので、電気を付けますね。」
朝の祈祷が終わったばかりですから、2階の大きな広間には誰も居ない…いや、…いました。
暗がりの部屋の中で、遠目でも察するぐらい精神を少し病んでいる人が、お釈迦様の目の前で座禅を組みながら、奇妙に体を揺らしています。
お坊さんが電気を付けるまで、真っ暗な部屋に、1人でポツンと座禅を組んで座っているのですが、体が滅茶苦茶に揺れているので、ちょっと怖いです。
一瞬、私や弟、それに他の参拝客も怖じけずきましたが、お坊さんに案内して頂いているし、引き返すのも気が引けます。
お坊さんは、一般人は入れない壇上に上がって、真言を唱えながら、それぞれの仏様の前で、お線香をあげています。
お賽銭を入れて軽く手を合わせると、他の参拝客も早々に退散するような感じになってしまいました…。
そうして、私と弟は境内で色々なところを参拝しながら時間を過ごして、社務所が開くまで時間を潰します。
社務所が開くまで待っている理由の1つとして、叶稲荷尊天の絵馬を買う目的がありました。
本来の絵馬を寺社に供える目的とは違いまして、『絵馬に願いごとは書かず』に、絵馬を御札や御守りと同じような感覚で家に持ち帰って『縁起物』として験を担ぐ作戦でして…。
かみ砕いて説明をすると、諸説、色々とありますが、『一説によれば』、絵馬は願い事を書いた時点で、書いた人の念を保持すると言われているようですが、絵馬に何も願い事を書かずに置いて祀れば、神様やご眷属が絵馬に宿る可能性があるようです。
要するに、お厨子による吒枳尼真天やご眷属の召喚ができない代わりに、御守りや御札のような時限効力的な絵馬に、ご眷属を召喚して、悪霊や呪詛の類に関して、なんとか助けて頂こうと考えました。
注意点としては、願い事を書いた絵馬を家に持ち込んでしまうと、絵馬には自分の念が入ってしまうから、神様やご眷属が宿るような効力がありません…。
その絵馬や縁起物などに、ご眷属が宿るかどうかは、運次第なのですが…。
そして、もう1つの目的は『身代わり地蔵』を買うことでした。
こちらは、目的がハッキリとしていますが『私たち家族や会社の不運や災難・困難の身代わりになって頂きたい』という、切なる願いからです。
その他にも、吒枳尼真天様のお姿の鏡があったり、御守りなども既に家にありますから、これ以上の買い物は無用でしょうし…。
私と弟は、それを買うと、早々に家に戻ることにしました。
この時期から、豊川稲荷東京別院を事ある毎に参拝している効果なのか、苦しんでいた会社に仕事が徐々に入りつつある状態にあったので、帰ったら仕事をするのに、長居ができなかったのです。
少し良い運気が流れたと思った矢先に、私は3度目の呪詛騒動でしたから、今後の事を考えると、ここで怨霊や呪いの類いに水を差されて人生のどん底に落とされるのは、もう勘弁ですし。
余談ですが、豊川稲荷東京別院に参拝した際に、売店で油揚げやお餅、お酒などを買って、本堂や奥院などに供えています。
それとは別に、私は、スーパーなどで売っている、普通のみたらし団子のパックやワンカップのお酒を2組をバッグの中に入れて、豊川稲荷東京別院に行く前に用意をしておきました。
そのお供えを携えて、吒枳尼真天さまの力が、ひときわ強い奥院の中で、お坊さんが朝のお勤めのお経を読んでいる最中に、バッグからお供え物を取りだして、奥院の中で手を合わせている時だけ、お供え物を置いたわけです。
そのお供えは、豊川稲荷東京別院に行けなかった妻や子供たち(子供にお酒はNGですから)に食べさせて、吒枳尼真天さまのお力を頂こう…という算段で、用意をしたわけでして。
それと、豊川稲荷東京別院にある、大黒天へ水を供えると良いと聞いて、会社と家族全員分のペットボトルの水を用意しました。
ペットボトルの水は、1人につき2本用意をしました。
その2本のうち、1つのペットボトルに、自分の名前を書いた紙を貼り付けておいて、もう1本は何も書かずに大黒天に供えて、ご真言を唱えます。
そして、お祈りが終わったら、何も書いていないほうのペットボトルだけを持ち帰って、各々がその水を飲むのです。
これは、入院している母の分までお祈りをしましたから、効果はある程度、期待できるはずですが…。
こうして、豊川稲荷東京別院で祈祷をして、くまなくお参りした後に、私と弟は、どこにも寄り道することなく家路を急いだのでした。