前回の作戦を実施する日が訪れて、1日目の休日は家の中の掃除をする日です。
掃除に取りかかる前に、ひとつ、儀式のようなコトをします。
まずは、お清めの塩を指でつまんで、それを口に入れ、コップに常温の水を7~8分目まで入れて、それを一気に飲み干します。
水を一気の飲みできない場合は、コップを口から離して構いませんが、水を飲み干すまでは、絶対にテーブルの上に置いてはいけません。
お茶や白湯、ジュースなどはNGで、あくまでも常温の普通の水のみです。
水の中に塩を入れて飲んでも効果は薄いのでダメですが、塩に関しては、お清めの塩ではなく、普通の塩で一向に構いません。
そうすることで、塩の力によって、自分の気が高まって、悪いモノが近寄らない効果があるようです。
5~6時間程度の時限的な効果しかないようですが…。
それをすることで、掃除をしたり、塩や砂で家や周りを清めている間に、これ以上、悪いモノに襲いかかられるのを阻止します。
まずは、弟が躍起になって、家の掃除に取りかかりました。
長男としては、実家である以上、それを手伝ったりもしますが…。
男ですから、部屋が汚くなるのは必然的になるケースが多いことは想像できますが、その部屋の汚さが祟って、余計に、変なヤツを呼び込むコトがあります。
しかし、弟は独身ながらも、炊事や洗濯も、キチンとやっているので、そこら辺のぐうたらした輩よりはズッとマシです。
私は学生時代、寮生活をしていた身ですが、まぁ、弟の家の管理や家事については、一応の及第点を与えられるレベルです。
この件に関しては、部屋の汚さに男女の性差はない気もしますし、女子寮なんかでも、徹底的に部屋が汚い女性もいますからね…。
おっと、話がそれた。
母が病気で倒れて家に戻る可能性なんて、ほぼ不可能に近いので、母が居なくなった影響で、家の中で手の届かなくなった場所を中心にして、徹底的に掃除をします。
もう、こうなると、完全に年末の大掃除みたいな感じです。
要するに、完全に怨霊や呪詛の類を祓えなくても、怨霊たちの意心地を徹底的に悪くして、その力を削いでしまう作戦です。
余談ですが、あくまでも『盛り塩』はしません。
盛り塩は、家に怨霊や幽霊が住み着いていないことが前提であって、ウチは、なかなか怨霊の類が家から離れない環境ですから、それを盛り塩で封じるのは、逆に怨霊を家の中に封じる結果になって、とても危険だからです。
盛り塩も方角や位置があるので、一概に盛り塩による結界が効くとは限りません。
余談はさておき、掃除をやった後に、最初に全てのドアや窓を少し開けておきます。
窓を開けておかないと、塩を撒いて悪いヤツを追っ払う時に、追い払う出口を作らないと、部屋の隅っこに隠れていた怨霊の類が、仕返しに悪さをすることが考えられます。
そして、妻が神社で買ってきた『お清めの塩』を、躊躇いもなく、部屋の四隅、北や北東の位置を起点として、時計回りに塩を撒いていきます。
この塩には、相当な神気があるようで、撒いている時に、私の頭がクラクラになるほど、強いです。
全部の部屋に塩を撒いたあと、窓を開けっぱなしにして、暫くした後に、塩を掃除機で吸い込んで片付ける…というコトをしていきます。
それらを、実家や私の家に限らず、会社の事務所や、工場でも全て同じことをやりました。
これで、嫌な気配が、随分と少なくなった気がします。
ただ、メインの女の怨霊は、家に居続けているようですが、かなり力が削がれているのが分かります。
そして、最後のシメにお清めの砂を、そして、今度は家の外に出て、家の外の四隅、工場の外の四隅に砂を撒いて、念の為に、うちの土地の全体の四隅を北や北東を起点として、時計回りに砂を撒きました。
いやぁ…、だいぶ、違いますね。
撒いている間、私の頭はクラクラしっぱなしでした。
でも、やっぱり、例の女の怨霊は、力は小さくなりましたが、家の中や私の家、それに、工場や事務所を彷徨っているような気がします。
それぐらい、その力は、そこら辺で連れてくるような、普通の浮遊霊などよりも強いのです。
それでなければ、私が呪詛を3度も見るなんて、絶対にあり得ないのですから。
ちなみに、弟は呪詛を1度しか見ていませんが、私は長男の使役がある為なのか、3度も見たのですから、完全に矢面に立たされまくっています。
私の身としては、自身が手術をする騒動があって、母は敗血症性ショックで倒れて、家に帰れない状態である以上、次の標的は、ここの主である私なのです。
何しろ、私の胸腺腫は早期発見の部類で、再発のリスクが低い良性で術後の経過も、すこぶる良すぎたので、あちらは相当に不満だったはず。
私にとって、あの胸腺腫の手術によって、将来の色々な病期になるリスクを防いでいるから、かなりの延命措置ができた形です。
怨霊が呪詛を使って弟とコンタクトを取ったのは、私の術後です。
たぶん、その結果に大いに不満を抱いたことから、今度は弟に向かって、次は弟だと警告をしたのでしょう。
ちなみに、怨霊が私たちに訴えることがあっても、そこに慈悲を与えてはいけません。
理由は聞いて、悪さをしている原因に関しては、聞いて対処はしますが…。
これで、私たちが、何らかの理由を知って怨霊に哀れみを見せると、厄介な事態を招くことになるでしょう。
あくまでも、冷静になって、カッとせずに、時間はかかるけれど、自然に仏の力で、怨霊をあの世に送り出す環境を整えるほうが良いかと。
何しろ、一発であの世に送るだけの力を持った人のコネクションや、対価を出すだけの財力が、私たちにはありません。
色々とありますが、ここは長期戦を覚悟して、総力戦で踏ん張るのが一番かと思うのです。