だから僕は困惑……などしないよ!
だって僕はこの優男容姿で、自分のことを【僕はね】と呼ぶから、みんな大変に大人しい男だといつも勘違いをされるけれど。
僕は中学生まで近所の空手道場に通っていたから、空手の初段の腕前でね、地元でも喧嘩が強いのだとちょっとした有名人だから。
僕は李儒の背後につけば直ぐにこいつへと回し蹴りを入れてやった──!
でも李儒はどうやら悪霊みたいだから、僕が背に回し蹴りを入れても透けて──空蹴りになるだろうな? と思えば。
ドーン!
「あれ? 手応えがある」
僕が独り言を漏らしてしまうほどの感触……。普通に人の背を蹴り倒したのと変わらない感触があるから。
「うぎゃぁっ!」
李儒は大袈裟な絶叫を上げ──城壁の石の路面の上に倒れた。
だから僕は李儒の地面に倒れている容姿を見て、本当に大袈裟な奴だなと苦笑いを浮かべると。やはり李儒は軍師で文官タイプの将だから武力の方は本当に低いなとこいつを嘲笑うと。