そう彼──李儒の天下盗りの策は、皇帝らしくない気弱な
そして弟の協王子を霊帝とすることで、自分の主である董卓仲頴が霊帝の後見人となり、陰から操り。漢王朝を徐々に衰退させながら解体し、完全な実権を握ったところで敵対勢力は武力で排除、蹂躙して。
董卓仲頴を新しい時代の皇帝へとする悪しき策を弄した悪者が、あの黒き影の男みたいでね。
あの男はやはりいつも何太后さまを城壁の上から突き落とせば、彼女と同じように城壁の上から小霊帝さまを強引に地面へと放り投げるから。
彼も自分の母親のように地面で己の顔を潰して血まみれになった顔を上げ──城壁の上から自分達親子を見下ろしながら。
「わっ、ははは、ざまよ」と嘲笑う李儒ではなく。
小霊帝さまも何故か何太后閣下のように僕の方を見詰めながら。
「うぅ、ううう、李術……。貴様だけは絶対に許さない……。必ずや朕は貴様に復讐をしてやるからな、覚悟しておれ李儒……」
彼は虫の息のはずなのに僕に対して恐ろしい恨み辛みを申してくる。
だから僕は今日も二人に「小霊帝さま、何太后さま、もう僕のことを許してください。解放してください。何でも言うことは聞きます。貴女達が望むならば一生賭けて償い、養いますから。僕を呪うのだけはもう勘弁してくだい。おねがいします」と泣きながら嘆願をした。
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