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第2話 プロローグは悪夢(2)

 そう僕自身もチャイニーズ語で喋る彼女が何を言っているのかは本来ならば悟ることができないはずなのに何故か? 彼女が男に対して自身の命乞いをしているのがわかるから不思議だな? 何故だろう? といつも僕は思う。


 そして見たくもない光景をY〇u Tubeやイ〇スタ〇ラム、T〇k Tokの動画でも観るように夢の中で見詰め続けていれば、本当ならば麗しいはずの女性の顔がね、段々と苦しさの余り歪んだ顔へと変貌していく中で二人は歩き続けている。


 でッ、二人が歩き続ければ彼女の背は石でできた城壁らしき物に当たり。そこで黒い男と麗しい女性の足の方は止まる。


 でも黒い影の男の方は、それでも麗しい女性の首を無言で絞め続け、今度は彼女の身体を城壁から落とそうと試み始めるのがまた今日も僕の夢の中で上映されるから。


 あいつ! あの男は今日も女性を塀から落とし躯にするつもりなのだろうか? と僕は思い。


 くそ~! あの男は本当に人でなしだ! 本当に碌な人間じゃない! 絶対に悪者! 悪代官だ!


 だから警察に逮捕され、裁判にかけられ、罪を償うべきだ! と僕はいつも大変に過激なことを思うとね。


 彼女は何故か自分の喉を両手で握り絞める黒い男ではなく僕の方を今にも他界しそうな悲痛……。苦しむ顔で見詰めてくるのだ。


「リ、李儒、お願い……。朕を……。朕のことを助けてください……。朕は貴方と董卓の申し入れは今後何でも聞き従いますから。朕と小霊帝の命だけは盗らないで救ってください、お願い。お願いします」


 彼女は黒い影の男ではなく。李儒と言う名の男……。僕の方へと自分の歪むほど首を絞めら、苦しい顔をしながら声にならない声音で、自身の手を差し伸べながら涙をポロポロ流しつつ自分の華奢な首を絞める黒い影の男ではなく。彼女は僕の顔を見詰めながら命乞いを続けてくる。


 だから僕は自分の夢の中であろうとも聞くのが嫌だから、自身の両耳を塞ぐ。でも彼女の命乞いは僕の脳内に直接響く悲痛……。悲惨……。悲しい声音だから。僕が自分の耳を塞ごうが聞こえてくる。





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