「ねぇハイネ、クラス、分かれちゃったらどうしましょう……」
「大丈夫よユーリ! 最悪お父様に頼んで……」
「ハイネ様、ダメですからね、ユーリお前も乗り気な顔してんじゃねぇ」
「そうですよお嬢様」
「もう、セリムもシグナもお堅いんだから、っていうかセリムのその口調いつまで経っても慣れないわ」
「仕方ないでしょう、オレはハイネ様の護衛も兼ねてアルミア魔法学校に入学するのですから、まさかため口なんてわけにもいかんですし」
「……全くその通りだ、ハイネには考える頭が足りないように思う」
「……本っとうに可愛くなくなったわよねシグナあんた、毎回思うんだけどなんで私に喧嘩売ってくるわけ?」
「自分の行動に聞くといい」
「まぁ、そう揉めない、本気で同じクラスになりたければ私の父に頼んだほうがいいだろう……まぁ私はユーリと一緒のクラスになれれば他は構わないけど」
「……どこぞのバカ王子がなんか言ってるわ」
「でもっ、みんな一緒だったらきっともっと楽しいわ!」
「よし、お父様に頼みましょうか」
「私も父に進言しよう、それっぽい理由をつけて」
「ダメだバカしかいねぇ」
あの事件から時は経ち気づけば七年の歳月が経とうとしていた
あの後私とアベルに関してはとても大きい雷を落とされ、セリムはリューデスハイム家に住み込みで騎士見習いをするようになった
最初のほうこそストレートチルドレンである彼をさげずむようなやからもいたが彼の実力を目にした大半のものは黙るしかなかった
それからは歳を取るごとにそれぞれ忙しく少なくなってはいったもののだらだら五人で集まってはくだらない談笑をするという日課が消えてなくなることはなかった
そして私達はついに
ゲームの舞台となるアルミア魔法学校に今年、入学する
それはローズクォーツの姫君というゲームが本格的に作動することを意味しており
ユーリの天然もありなあなあでなかなか通じなかった私の恋心を学園卒業までに伝えること、それが今の私の目標であった
勿論アベルもシグナも、これから登場する攻略キャラも……蹴落としてでもユーリを手に入れるという心意気は今も変わってはいない
そして私は覚えている
私とユーリは同じクラスに組分けされることを
この時点で他の奴よりもすでに優位にたっているということだ
待っていろアルミア魔法学園
待っていろローズクォーツの姫君のフラグよ!
私が悪役令嬢としてバッキバキに折ってやる!