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雛祭さんは解かりたい 幕間

 ピッパムなんて名前の花……やっぱりマシュかわには、出てきてない。

 すると、この世界にある花の名前なのか? スマホで調べてみるか。

 うーん。人形劇や酒や競走馬に、似たような名前のものがあるが、ピッパムなんて花はないな……。

 ん? 雛祭さんから、ラインだ……。


『こんばんは。そういえば、お伝えしたいことがあったのを、忘れてました!』

『そうだったのか。なんだ?』

『ピッパムの花は触れると、体温で爆発するんです! だから、触れるときは、温度を遮断するグローブを装着してくださいね』


『へえ……危険物取扱免許は持ってなくていいのか?』


『きけんぶつ……? ああ、ライセンスのことですかね? そんな危険なものじゃないので、大丈夫ですよ。エーデルリリィに伝わる伝説の花・ジャリバンゴは、花開いた瞬間に、ひとつの都市を壊滅させるほどの破壊力を持っているんですよ。それにくらべたら、ピッパムは可愛いものです。まあ、ジャリバンゴの開花周期は一万年に一度のことなので、まだまだ先の話なのですよ』


 ジャリバンゴ。また、マシュかわに出てこない名前だな……。


『なるほどな。そうだ、ピッパムってどんな色の花なんだ?』

『透き通るような水色の、きれいな花ですよ』

『へえ』

『開花するときに、とてもいい香りがするんです。清潔で、落ち着いていて、爽やかな香りですよ』


『そうなのか。この世界で例えるなら、どんな香りとか、ある?』

『この世界で……? なんだろう、ここに来たばかりなので例えがなかなか思いつきませんね。何があったでしょうか……』

『あー。むりはしなくてもいいけど……』


『……ひとつありました!』

『おおっ、なんだ?』

『家のリビングの引き出しにあった丸い缶。そのなかにつまっていた、白い粉です!』


『し、白い粉……!?』


『はい!』

『白い粉って……?』

『たしか、缶にこう書いてありました。ベビーパウダーって。どういうときに使う粉なんですかね?』

『……あー。あれね。うん、まあ……いい香りだよな』


 ピッパムは、白い粉の香り。

 なるほどな。いつか、見てみたいものだ。

 グローブをはめて、な。

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