外はまだ昼で明るかった。
そして、ここは本来草が生えているべき所なのではないか。
そんな感じがする運動場……砂だらけの地面。
「ここは生徒達の学ぶ場所なのですが、今からやるのは大切なことなので」
そう言いながら、リリーさんはそこに白い石でくっきりと逆三角形の真ん中ら辺に横一線の入った形の魔法陣を書く。その中には山みたいな土みたいな絵が入っている。ティノもそうだったが書き終わるのがめちゃくちゃ早い。
一気に集中して書く! という感じだ。
「ここを北とします」
そう言いながら西に移動し、さらっと逆三角形の形の魔法陣を書く。その中には水を表しているのだろうか、そんな絵も入っている。
そこから東に移動し、三角形の真ん中ら辺に横一線の入った形の魔法陣。その中には風を表していると思われる絵が入っている。
また移動した。南には三角形の形の火みたいな絵が入っている魔法陣を書いた。
「これで終わりました」
そう言ってリリーさんは俺を見る。
「では、この四方にある魔法陣の真ん中に立ってください」
言われた通り、俺はその場所に移動する。
何をする気だろう。この四つの魔法陣は何を意味する……。
考える間もなく、彼女は声高らかに詠唱する。
その手に杖はない。
魔法陣の力だけでするつもりなのか。
「ここに潜む属するモノよ、この者を認め、
う……全ての魔法陣が全力で光出した。眩し、眩しすぎる!!
目に良くないと思いながら、俺は目の前に現れたモノを見る。火の絵が書かれた魔法陣にだけいる。
「これは?」
音を立て、力強く、赤々と
「フィスィ・ピュールですね。見たまま火の力を貸してくれます」
「自然召喚……ですか? 俺、自然界のお世話になるということですか?」
「そうです! それしかありません。その何か詰まっている邪魔なものに対抗するには、ですが。神の力でも良いんでしょうけど、神がそれを失くす時、あなたにもそれなりの痛みが伴うでしょう」
え、この子何言ってんの? さらっと、ちょっと怖い……。姉妹そろってちょっと怖い。
「さあ、契約をしましょう。一時的ではありますが、その間は魔法が使えるようになります」
「火だけってことですか? 他の属性はなしということですか?」
「そうですね、応じたのは見ての通りなので」
はあ……、契約ってどうやるんだろう。
「大丈夫ですよ、その邪魔しているものさえいなくなれば、ヨシキチさんも他の冒険者と同じようにいろんな属性のいろんな魔法が使えるようになりますから!」
「はあ……」
俺はやる気満々のリリーさんに全てを任せることにした。
そうしなければ、何もできないままだ。
この数日、発見した事はニホンイセカイのホームページのイーランニングの所にあった異世界で仕事する人用の剣の講座。それをやろうか……と考えていたのだが、棚から牡丹餅のこの状況。剣が出来ずとも魔法が出来るようになれば少しは違って来るはず。仕事の選択肢も広がるだろう。
さあ、来い! 火よ! 人魂でもない自然界の火相手に俺は契約しようとしていた。
「え?! その対価に彼の」
「待てぇーーーーーーーーーーーーぃ!!!」
どこからともなく爺さんの声が聞こえた。
ビックったァ! こちらに向かって黒一色のローブを着たいかにも魔法使いのおじいさんが厳しい眼差しでこの状況を見ていた。