目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
もう出て来ないやつ


 やはり敵キャラだった。スケルトンは狸寝入りを使い、俺達の事を調べていたらしい。

 クレアの脅しによって、スケルトンはシャキンと立ち上がり、歩く。

 やはり、このモンスターはそれなりの魔法で昼でも動けるようになっているらしく、俺達の前に正座した。

「よし、良いわ。さあ、ガイコツ。昨日教えたことは覚えているでしょうね? 何かしたらすぐに返してやる! って、ねえ、分かってるわよね? この女神の睡眠を邪魔したことを謝りなさい!」

 うわ、この女神、イヤよ、嫌よ! って言いながらもバリアしたかと思ったら、途端に強気になって、スケルトンに……。

「ねえ? もっと深く謝罪をしなさい! 日本でペットになるというのなら! もっと深く、立派な土下座をできるようにしなさい!!」

 ダメなヤツ前提で叱るのか……。

 スケルトンは女神の言う通りに動く。

「良いわ~!! さあ、今度は!!」

 そこでいきなりスケルトンは立ち上がり、自ら骨をバラバラにすると転がり出した。

「な!」

「これが逃げのカクカクです!」

 俺達の前をコロコロと通り過ぎ、その全ての骨はあの縦長の木箱の中に入ると元の状態に戻り、その横に置いてあった蓋を掴んで、そっと静かにその蓋で木箱を閉じた。

「っちょっとぉ!!!! まだ終わってないんですけどぉ!!!?」

 バンバンとクレアはその木箱を叩く。

 可哀想になって来た。

 それ以降、スケルトンは木箱に入ったまま。

 叱られて怖い、反省中……ということはなく、早くここから連れ出して! と言っているようで、物音一つさせず、骨の音さえ鳴らない。

 狸寝入りは悪い事に入る……ということさえ分かってくれれば、それで良かったのに。

 今もクレアの怒りの声は上がっている。

 あいつの場合もスライムと同じく記憶をなくしてしまうのだろうけど。心を閉ざしませんように……と願いながら、俺はさらっと報告を終えた。

 雌雄の判別は少し困ったが、リリーさんに言ったらしいクレアの言葉を信じるならオスで、ペットとしては不向き。女神とレベルアップを狙う者のいる所にはこういうのは向かないと書き添えて、次の対象モンスターを待つことにした。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?