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第8話 永遠の理想の存在と憧れの関係②


「えーそうだっけー!? それをいうなら、まさかその茉白ましろちゃんと颯兄はやにいが今では付き合ってるとか、あたしにとったらそっちのがビックリだったけどさ~」


「あぁ~まぁ確かにそれはな。ホント偶然茉白ちゃんとあの時再会してこんな風になるとはオレも思ってなかった」


「だよね~。まさか茉白ちゃんの初恋が颯兄でずっと小さい頃から片想いしてただなんてあたしも全然知らなかったもん」


 理玖くんの妹でもある茉白ましろちゃんと颯兄は、偶然大人になって再会したのがきっかけで付き合い始めたらしくて、同じ歳で昔から茉白ちゃんとも仲良しだったあたしにとっては結構衝撃だった。


 しかも、茉白ちゃんは小さい頃からずっと一途に颯兄好きだったみたいで自分から告白したらしいし。


 うん、わかる! 颯兄が初恋の素敵な存在で一途に想い続けるとか想像出来るもん。


 それくらい颯兄は王子様みたいな素敵な存在だしな。


 あたしも実の妹じゃなかったら、マジで颯兄みたいな人が恋人がよかったわ。


 さすがにブラコンほどの愛情じゃないから、茉白ちゃんや颯兄の歴代の彼女さんに嫉妬するとかはないけどさ。


 颯兄も茉白ちゃんには昔から優しく接してたし、そりゃあんな颯兄見たら好きになって当然だよね~。


 昔っから颯兄も外見も中身もめちゃ男前だもん。


 でも、そんな二人と比べて、やっぱ理玖くんとあたしは正反対だったよな。


 颯兄はあたしにも茉白ちゃんにも優しかったけど、理玖くんは、茉白ちゃんには優しくてあたしはいつもからかってた。


 いや、この違い酷すぎでしょ。



「うん。まさかオレもそんな頃から想ってくれてただなんてビックリしたけど、素直に嬉しかった。茉白はホント素敵な女性だからさ。あの時、再会して付き合えてよかったなって思ってるよ」


「いいな~。颯兄と茉白ちゃんはそんな素敵な関係で」


「沙羅だって、理玖と再会したんだし、お前らはお前ららしい、いい関係をこれから築いていけばいいんじゃないの?」


「え~、あの理玖くんと築けると思う~!?」


「まぁお前の天敵だもんな(笑)」


「ホント天敵とはずっと相性も悪いままだよ……」


 同じこの兄と妹との関係で、方や大切に想い合ってる恋人同士で、方や職場の先輩後輩でお互いいがみ合ってるとか、これどうよ?


 何この差。


 同じ兄妹とは思えない! 同じ年齢で同じ境遇なのに!


 いや、そりゃそういうのも相性あるのかもしれないけどさ。


「じゃあオレからも理玖にあんま沙羅イジメんなって言っておくからさ。とりあえず頑張ってみな」


「う~ありがと~颯兄~!」


 あ~優しすぎる~!


 最後は颯兄はこうやってあたしを優しくなだめてくれる。


 昔から理玖くんにからかわれては落ち込んで、最後は颯兄が優しくなだめてくれるというこの流れが定番で、その度あたしは颯兄の優しさを身に染みて感じてたんだよな。


「あっ、颯兄もご飯食べていけるの?」


「あぁ。今日はゆっくりするつもりで来たから。ご飯食べたあとゆっくりケーキでお祝いしよ」


「うん!」


 あ~昔から颯兄はあたしを元気にしてくれる太陽みたいな人なんだよな。


 いつでもその笑顔と優しさと温かさで、元気がないあたしをいつも励ましてくれて元気づけてくれた。


 その点理玖くんは月みたいな人。


 少しクールで、だけどなんか不思議な魅力を放ってる人。


 だから常に何を考えてるのかわからなくて、あたしはちょっと苦手。


 自分がわかりやすい人間だし、颯兄もちゃんと言葉や態度で表してくれる人だから、ホント理玖くんは正反対。


 なんかちょっと秘めたものを持っているというか、なんか抱えてるものがありそうな、なんかそんな感じに思えて。


 昔知ってた頃は、それも向こうが学生だったし、そっちのイメージのが少し強かったのに、今日会社で再会した理玖くんは、そんな昔持ってたイメージとは少し違うように思えた。


 それこそ妹の茉白ちゃんも大切にして、家に一緒に来た時も、すごいいいお兄ちゃん感は感じたんだよな。


 だけど、なんだろ。


 そういうのはまた違って、なんか雰囲気が変わってたんだよな。


 昔のそういう部分を持っているはずなのに、そういうのは一切見せないようにしているというか、本来の理玖くんを隠してるというか。


 元々あたしに対しての態度はあーいう感じなのは仕方ないとして、それだけじゃなく、社内の人たちに対しても、なんか何かを演じているような、あの笑顔もホントの笑顔じゃないような……、なんだかふとそんな感じがした。



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