それからボクは病院に帰る気にもならず、夜道を1人車椅子で彷徨った。
今頃、病院はボクの不在で大騒ぎだろうか。そんな事はどうでも良い。もう、生きていても何の意味も無いのだから。
ボクは今日、これから人生を終わらせるつもりだ。でも、この身体じゃ首も吊れないし、高所にもいけない。それなら踏み切りに飛び込むのが良いか。
もう散々だ。皆の中に戻れないのなら、もう何も頑張る必要は無い。ボクは、もう生きる気力を完全に失ってしまった。
夜道をひたすらに進んでいると、ようやく踏み切りが見えてくる。ボクが死ぬとしたら、轢死か。
鉄の塊の押し潰されて、バラバラになって……ボクの最期としては相応しいのかもしれない。
ボクは意を決して踏み切りの中に立ち入ろうとするけれど、中々先へと進めない。怖い、今更になって、死ぬのが怖い。兄さんが悲しむ顔を想像すると、最後の決意が中々固まらない。
「生きたくない、けど、死にたくない……」
矛盾しているし、我ながら本当に滑稽だと思う。ボクは自殺すら満足に出来ない。
生きる事も、死ぬ事も満足に出来ない……もうボクの中の感情はぐちゃぐちゃに掻き乱されていた。
線路沿いの夜道で、ボクは人目も気にせず大声を出してボクは泣いた。