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第4話 自己嫌悪

【7月3日 朝:塚原 杏奈】


 ああ、またやってしまった。


 もう、お兄ちゃんの前で変な事するのやめようって思ってたのに、またやってしまった。嫌われたかもしれない。


 昔からそうなのだ。何故だかお兄ちゃんがどこかへ行ってしまうような気がすると、何とかして止めなきゃ! と思ってその場で怒鳴ってみたり、泣き喚いてみたりしてしまう。

 自分でも異常だとは思うけど、それでもお兄ちゃんがここにいてくれるなら……って思うとそんな事はどうでも良くなる。


 もう、大事な人が私の前から消えるのは嫌なんだ。だって、消えたら人はもう2度と戻ってこないんだもの。


 10年前、私があの夏の日に、優姫ちゃんが消える時にも泣き叫んでたら……優姫ちゃんは消えずに済んだのかな。


「お父さん、お母さん……そして神様。私達でお兄ちゃんは……お兄ちゃんだけは守ろうね、絶対に」


 祭壇に置かれた両親の遺影の前で祈りを捧げながら、私は一人呟いた。

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