校舎裏の風が冷たい。砕け散ったペンダントの破片がまるで氷の結晶のようにコンクリートの上で輝いていた。写真は引き裂かれ、母の笑顔は二度と戻らないものになってしまった。
ミリアの声が頭上から降ってくる。笑っているらしい。チョウシノッテイル、コウソクイハン。バツ。ジゴウジトク。そこへ鳴り響くチャイムの音。足音が遠ざかっている。
私は地面にへたり込んだまま、動けなかった。両手でカケラを掬おうとするも指の隙間からこぼれ落ちる。一欠片、また一欠片。そのたびに、母の温もりが永遠に失われていくような気がした。喉の奥が熱い。今まで必死に堪えてきた涙が、頬を伝う。その一粒一粒が、砕けたペンダントの上に落ちていく。
誰も見ていない校舎の影で、私は声をひそめて泣いた。