高校の二年生の時だった。私は突然体調を悪くした。
何にやられただろうか。将来への不安、受験のプレッシャー、あるいは。いやそうだ、もっと規模の大きい。
世界。私が観測している、この素晴らしい世界らしきもの。それに私は絶望したのかも知れない。
違う。違うんだ。私は今どこにいる。ここにいるよ。現実の日本にいる。嫌だ。嫌だ。もってのほかである。
違う世界に、行きたい……
しかしそれは叶わないもの。恐らくこの先に展開されるであろう私の人生。それのいったいどこが楽しい。分からない。到底。
天使さまの声が、ある日聞こえた。綺麗な日が昇る朝焼けであった。天使さまは何かを言っている。確実に何かを言っている。
「……ぞ」
ぞ?なんだ。もっとはっきり聞こえないものか。
「日本語は、いいぞぉ」
「へっ!?」
びっくりした。
曰く、同音異義語の面白さ。限った話ではないかも知れないが、それはこの国の一部である。
でも、私は英語が得意だった。日本語は、苦手だった。
「外交官になればいい。翻訳者になればいい」
そういう事か。日本の言葉のすばらしさ、同じ言葉でも、例えば文字に起こした時の表記の仕方で印象は変わってくる。
なろうか。外交官。むろん、それは。
なれるなんて決まったもんじゃない、そういう言い訳はどんどん増していく。しかしそれでも。
引きこもっていた私には、できる事がある。
現代日本の誇り。私はアニメを見る事にした。