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よるはあそぶ

 夜中、尿意で目が覚めた。布団から体を起こし眼鏡を探す。……ん? ないな。……睡眠中に無意識に私の腕が動き、定位置——枕元、読書に用いた文庫本の上——の眼鏡にぶつかりのだろうか。

 眠いし電灯を点けるのも億劫だし朝になったら探すことにした。トイレに行き用を足すという作業は近視であっても困難ではない。と高を括っていたが文庫本を踏んで足を滑らせ尻餅をついた。前言撤回。


 朝、起床。仕事を全うしているのに憎まれて頭をぶっ叩かれる目覚まし時計って可哀想、などと考えていると、ふと(そうだ、眼鏡が)と思いだした。が、眼鏡はちゃんと文庫本『ダブリン市民』の上に鎮座していた。

 私は一人暮らしだ。誰かの親切という線はあり得ない。となると昨晩の出来事は夢だったのだろうか。しかし私に踏まれたため運悪く破損した文庫本とそれで滑って尻餅をついたため痛む尻、これらの不幸は今なお存在している。昨晩、私が夢遊病的に眼鏡と文庫本を発見し定位置に置いたのか、それとも——

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