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お天道様が見ている

 アメリカが「世界の警察」と呼ばれるように太陽系のいわゆる警察は太陽その星であり、決まってで取り締まっている。


「おい火星よ、『見かけの等級』という言葉を知らんとは言わせんぞ」と太陽は問い詰めた。火星は答える。

「は、はい。絶対的な明るさではなく、地球から見た際の明るさのことですよね……。距離によって見え方は違うと。存じてますよ、ええ……」

「お前には地球に賄賂——鉱物のオパールだそうだな——を渡してこの『見かけの等級』を改竄した容疑がかかっている。逮捕は免れん!」

「ちょ、ちょっと待ってください! ……逮捕要件は満たしていますか?」

「む……仕方ない。ならば衛星のフォボスとダイモスをお前がと判断し別件逮捕するがそれでも構わないか?」

「な、な……」


 お天道様が見ているという古来のフレーズはただの戒めではなく事実に基づいているというわけだ。惜しむらくは、太陽の正邪を分別し寄り添う星が宇宙広しと言えど一個として存在しないけれど。

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