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京都タワーという名のロウソク

「京都タワーって見た目がロウソクみたいだよな。細長いし、胴体は綺麗な白で、頭の方が赤っぽくて」

「ここだけの話、素材の半分は本当にロウでできてるんだよ。耐久力のためにもう半分は鋼だけど」

「またまた」と青年は笑い、こう続けた。「やっぱり関西の人間かたはウィットに富んでる」


 8月、京都五山送り火が執り行われる。東山如意ヶ嶽に炎でダイナミックに描かれた〈大〉の字は印象深い。

 さて、ではなぜこの行事が開催されているか、その理由についても把握している人間は少ないだろう。

 そう、京都タワーという名のロウソクを灯すための火を起こしているのだ!


「——でもよ、なんで京都タワーを灯そうとしてるんだ?」

「国語の話だけど、(家計が)火の車、(貸出金が)焦げ付く、とお金の問題はしばしば火で例えられる。そこで「節制しましょう」というキャンペーンのために京都府がこの事業に取り組んでるわけさ。当時も今も」

「……言いたいことは山ほどあるが、とりあえず方向性が迷子になってるのはだな」

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