新しく弁当屋ができた。よく使う類のお店が近所にできるのはラッキーなことだ。
当然だが内装はピカピカだ。やつれ気味のスタッフが応対してくれた。店主かもしれない。たぶんまだバイトを多くは雇えていないだろうから。正面上部の壁にメニューが書き並べられたボードがかかっている。
「スタミナ弁当というのは?」と僕は尋ねた。
「疲れがとれる食材の豚肉やニンニクがメインです。この夏を乗り切れること間違いなしですよ」とスタッフは答えた。ふむふむ。
「こちらの精進弁当は植物性の食品だけが使われているわけですね」と僕は確認した。
「その通り。やっぱり差異化を図るのは重要ですよねえ」とスタッフは誇らしげだ。
「ん?
「心が込められています」
「な、なんだか急に胡散臭いですね。差異化も何もないですし……」
「一味違いますよ。弁当だけにね。なんとこちら6850円になります。