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茶道・サ道・鎖道

 僕らは重大な何かを忘れている気がしながら、そしてその懸念すら忘れようと努めながら日々を生きていると思いませんか?


「サウナ——銭湯とかにあるあの暑い部屋のやつね——を存分に楽しむ活動が『茶道』みたいに『サ道』って呼ばれてて人気らしいよ。冗談じゃなくて本当の話」と彼女はハンバーグをナイフで切りながら教えてくれた。

「へえ、活動そのものも面白そうだけど『サ道』って響きがなんだかコミカルで良いね」と僕は和風パスタをフォークで巻きながら返した。ちょっとうまいこと言うじゃないか。

「それでね、私、鎖道さどうの創始者になろうと思うの」と彼女は出し抜けに宣言し、こう続けた。「古今東西のくさりを蒐集して愛でたり研究したり。君もどう? やっぱり仲間がいた方がいいよね」

「うーん……ごめんね、最近『ブーメラン発言どう』を始めちゃったからなあ」

「ブーメ……え?」

「まあそれはともかく親友としてあえて忠告するけど、君はもっとに時間を使ったほうがいいよ」

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