食事も終え、明日の朝から捜索すると話はまとまり、解散となりかけたその時。
「あ、そうだ、あなた名前は? というか自己紹介もろくにしてなかったね? 私は……」
「いや、いい、わりィのは俺たちの方だったんだ、無理に名前を名乗ることもないし、俺たちのことを覚えたくもないだろう?」
「いや、そうは言っても明日からのこともあるし、名前が無いと色々不便じゃない?」
「うんうん~、流石に私たちもずっと"あなた"呼ばわりはイヤかなぁ~」
キョウちゃんも同調する。
「私のことはノゾミ、こっちの子はキョウちゃんでいいから、そう呼んで? それであなたはなんて呼べばいいかな?」
「そう……だな……ブラッドレイジ、長ければレイジでもいい、そう呼んでくれ」
「うん、わかったよ、レイジ」
「よろしくね~、レイジくん~」
各々の簡単な自己紹介は済み一旦この場は解散となった。
私とキョウちゃんは同じ部屋なので一緒に部屋へ向かう。
レイジは思うことがあるのか旅館の外へと出ていった。
「あ、パーティー組むの忘れてた」
「ん~? まぁ仮のパーティーだからねぇ~? 無理に組む必要もないけど組んでないと色々不便……ではあるね~」
「明日の朝集まった時に組もうか」
そう話しつつ部屋へと向かった。
昨日とは違い、ふかふかベッドでは無いものの畳の上に敷かれている布団。
これが趣があるってことなのかな?窓の外には木々や小さい滝と池も見える、おそらくホログラムか何かで映し出されているのだろう。
「本当にキョウちゃんには感謝しかないよ」
「ん~? どうしたの~?」
「ううん、昨日も今日もありがとうってこと!」
そう伝えるとえへへーとはにかんだ笑顔を見せてくれる。
「でも、ノゾミちゃん~、あの人に協力するのはいいけど、お金稼ぎはどうするの~?」
「そうだよねぇ……どうしようかな?」
「現実的なのは飛んで行った方向のクエストをいくつか受けつつ助けに行くのと、同じように討伐以来の出ている魔物を狩ることかなぁ~」
それでも一気には稼げないけどね~と一言付け加えられるがコツコツと貯めつつ、稼げる時に大きく稼ぐ、それがいいだろう。
「あー、なんか生きてるって感じがするー!!」
レンジの弟分さんは生きた心地してないだろうけど、それはそれこれはこれ。
明日からもいそがしくなりそうだ、ホントに濃い2日間だったなぁ。
「えへへ~?」
隣で笑っているキョウちゃんがいる。
「ノゾミちゃん~? 惚れちゃった? 好きになっちゃった?」
…………?この子は何を言ってるんだろう?
「いや、全く、そんな気は無い……?」
うん、全然ない、むしろキョウちゃんと遊んでいる方が楽しい。
「……おもしろくない~」
「じゃあキョウちゃんが好きになっちゃえば良いのでは?」
「……おもしろくないぃ~」
わがままな子だね!?
「ねぇ~、ノゾミちゃん~? なんで魔法少女なの? 魔法少女好きなの?」
「あー……なんでかって言うとちょっと照れくさいというかなんというか……」
「え~、いいじゃん、いいじゃん~、しばらくは慌ただしくなりそうだし~、ゆっくり休める今日教えてよ~」
なんで魔法少女ってねぇ?
それにキョウちゃんの言う通り明日からは忙しくもなるし、話してもいっか。
「えっとね、なんで魔法少女かと言うと……」